2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K21060
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
福永 圭佑 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 研究員 (80639279)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗体 / 蛍光消光 / ルシフェラーゼ / 生物発光共鳴エネルギー移動 / バイオ直交性反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はIgG型のBRETプローブを作製するための検討を行った。まず、申請者らが開発したN末端選択的化学修飾法を用いてTAMRA標識IgGを作製した。抗原が存在しない条件下ではTAMRAがIgG内のトリプトファン残基との接触により蛍光消光を受けるが、抗原が結合することにより抗体の構造変化が生じ、トリプトファンとTAMRAとの接触が解消され蛍光が回復する(代表者ら、投稿準備中)。 このN末端TAMRA標識IgGをさらに位置選択的に標識することを試みた。具体的には、Qasbaらの抗体糖鎖への酵素化学的な直交性官能基導入法を利用した。まずモデル系としてアジドを直交性官能基として有するガラクトースを糖鎖末端へと導入した後、アルキン誘導体化したRhodamine Greenをヒュスゲン環化付加反応によりコンジュゲートした。電気泳動後にゲル蛍光イメージングで標識を確認したところ、重鎖・軽鎖はそれぞれTAMRAで標識されている一方、Rhodamine Greenは糖鎖が存在する重鎖にのみ標識されていた。また、PNGase F処理によりRhodamine Greenが糖鎖に対して位置選択的に付加したことを確認した。二重蛍光標識IgG抗体のドナー(Rhodamine Green)を490 nmで励起したところ、ドナー・アクセプター双方の発光ピークが観察されFRETが生じている事が確認された。抗原を添加したところ、アクセプター(TAMRA)の蛍光強度は抗原濃度依存的に増大する一方、ドナーの蛍光スペクトルは変化しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
市販のIgGのN末端アミノ基及びN-結合型糖鎖をそれぞれ位置選択的に(二重)標識する技術を確立した。これにより、予定外の成果としてIgG型のFRETプローブを創製するに至った。一方で、Pyrrolysyl-tRNA合成酵素・アンバーサプレッサーtRNAを用いたアルキン導入ルシフェラーゼの大腸菌発現系の構築を試みたが、現状では非天然アミノ酸の導入が確認できていない。このため、IgGに対してコンジュゲートすべきルシフェラーゼの準備ができておらず、IgG型のBRETプローブ作製に至っていない。これらを総合的に勘案し、(3)の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
収量が低いことが見込まれるが、大腸菌無細胞タンパク質合成系を用いたアルキン導入ルシフェラーゼの発現を試みる。発現が成功した後は、N末端蛍光標識IgGに対してクリック反応を行い、位置選択的に蛍光色素・ルシフェラーゼが導入されたBRETプローブの合成を行う。また、各種生体分子(抗原分子)の発光測定を実施する。
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Causes of Carryover |
理由:IgGを二段階標識する手法の開発に関して検討及び改良に時間を要した。また、非天然アミノ酸を導入したルシフェラーゼの大腸菌発現が難航しており、その結果、一部研究計画を変更することになり遅れが生じた。このため、次年度も研究を継続して行うこととした(補助事業期間延長承認済み)。 使用計画:研究を延長して行うため、消耗品の購入及び成果報告等のために費用を充てる。
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Remarks |
ICBS2017 Travel Award受賞
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Research Products
(7 results)