2016 Fiscal Year Research-status Report
印刷法を用いた低電圧駆動有機トランジスタの開発とシート状感圧センサーへの応用
Project/Area Number |
16K21061
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
酒井 平祐 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (30580401)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機感圧センサ / 有機トランジスタ / 低電圧駆動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目的は、低電圧駆動の有機電界効果トランジスタ(Organic Field-Effect Transistor, OFET)を作製し、感圧デバイスの研究開発へと展開していくことである。 本年度は、本研究において、3 Vで駆動し、SS値が100 mV/dec程度のOFETの作製に成功した。これは申請段階での目標値であった5V以下という設定より低い電圧であるため、この目標は達成していると言える。 このような特性をもつ低電圧駆動OFETを感圧センサに応用した。OFETはセンサの感圧部へ印加された圧力を出力するためにセンサに組み込んだ。ここでOFETを低電圧駆動化すると、感圧素子としての感度が上がることを明らかにし、国内外の学会及び投稿論文にて報告した。これらの成果は研究指針が妥当であることを裏づける成果となり、更なる素子の性能改善にむけた研究へと進めることができた。 上述の基礎的な低電圧駆動OFET型感圧センサで培った知見をベースとして、独自のDual-gateトランジスタ型感圧センサの開発に成功した。この素子では、他の低電圧駆動OFETを用いた感圧センサとの圧力応答を比較すると、同程度の圧力を印加に対して変調される電流の変化量が3桁程大きくなることを見出した。これらの成果は、特許の申請に加えて、投稿論文や国内外の学会にて報告した。現在は研究計画に則り、この素子構造を中心としてさらなる感度向上や駆動電圧の低下、作製プロセスの改善を目標とした研究を進めるとともに、より詳細な動作メカニズムの解明のための研究にも着手している。 また、素子に印加された圧力を可視化するためのシステム開発については、周辺回路やプログラムの作成に取りかかっており、素子のスペックにあわせて作り込んでいく計画となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、有機トランジスタの低電圧化に成功し、目標値を上回る性能を示す素子の開発に成功した。これらは申請段階での研究計画を超えたものであるため、進捗状況については、当初の計画以上に進展しているというに自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は引き続き研究計画に沿って、研究開発を進めていく。素子の性能向上に向けては、具体的な指針がすでにあり、早急に着手する予定となっている。感圧センサのシート化や読み取りシステムの開発についても、基礎となる作製プロセスやシステムのスペックの検討は前年度に前倒しして着手しており、今年度も継続して進めることができると考えている。計画は順調に進んでおり、一部前倒しして着手できているため、現状のまま研究が進んでいくことになると予想される。 これらの結果は、年度前半のうちにおおむね形として成果が得られるように研究を進め、次年度以降の予算獲得や研究計画の確立に活かしていきたい。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画よりも研究が進行したため、次年度に計上していた予算の一部を当該年度に前倒し請求をした。当該年度の配分額と前倒し請求分は概ね予定通りに執行したが、少額が残ったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究は申請書の研究計画に沿って順調に進行している。この研究計画に従い予算を執行していく計画である。
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Research Products
(15 results)