2016 Fiscal Year Research-status Report
原発性胆汁性肝硬変の病態進展におけるIL-33/ST2 pathwayの役割
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16K21069
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
城下 智 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (90597965)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原発性胆汁性胆管炎 / IL-33 / ST2 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は慢性進行性の自己免疫性肝疾患の一つである。PBCの発症や病態進展には遺伝因子と環境因子の関与が推定されているが、その詳細は明らかになっていない。本研究では、PBCの線維化進行と病態進展において、 IL-33/ST2 pathwayが関与しているか否かを明らかにすることが目的である。 まず、今年度は、保存血清を用いて、IL-33とsST2をELISA法で一括測定し、肝組織所見や臨床検査値との関連を検討した。IL-33は進行期で高い傾向(p=0.05)があり、sST2は、非進行期に比べ進行期で有意に高かった(p<0.01)。さらにsST2は線維化マーカーのWFA+-M2BPと正の相関をしていた(r=0.42、 p<0.001)。これらの成果は、第41回日本肝臓学会東部会で報告した(城下 智, 他. 肝臓. 2016, suppl. 3, 23)。 これらの結果を基に、肝におけるIL-33およびsST2の発現の検討を開始した。IL-33は、免疫組織化学所見より、患者の肝の血管内皮および類洞上皮系細胞で陽性であった。sST2は、血球系細胞の一部で陽性であった。現在、IL-33陽性細胞およびsST2陽性細胞の同定を行っている。さらに、PBC線維化進行マウスモデルにおいて、IL-33/ST2の発現についても解析を行っている。 また、PBCの疾患感受性と病態進展に関して、免疫遺伝学的側面からの研究報告のまとめを行い報告した(Joshita S, et al. J Immunol Res. 2017, 2017: 3073504)。また、protein tyrosine phosphatase N22遺伝子多型と疾患感受性との相関についても報告した(Umemura T, Joshita S, et al. Sci Rep. 2016, 6: 29770.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、PBCの線維化進行と病態進展におけるIL-33/ST2 pathwayの役割について解析を行った。PBC患者の血清中IL-33/sST2は、病態と相関していることが明らかとなった。これらの結果については、投稿準備中である。また、肝局所におけるIL-33およびsST2の発現の検討を開始した。考察を加え、今後はIL-33およびsST2の臨床的意義を明らかにしていく段階であると考えられる。このため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
PBC患者の血清中IL-33/sST2は、病態と相関していることが明らかとなった。肝組織での発現も確認されたので、PBCの病態における、肝のIL-33/sST2産生細胞を同定していく。さらに、IL-33およびsST2の臨床的意義を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
本年度施行した、IL-33とsST2のELISA法の測定が安価に行えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究計画を予算通りに行うことに加えて、平成29年度請求額と合わせて消耗品購入にあてることとする。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Association between serum soluble CD14 and IL-8 levels and clinical outcome in primary biliary cholangitis.2017
Author(s)
Umemura T, Sekiguchi T, Joshita S, Yamazaki T, Fujimori N, Shibata S, Ichikawa Y, Komatsu M, Matsumoto A, Shums Z, Norman GL, Tanaka E, Ota M.
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Journal Title
Liver Int
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Liver Stiffness-Spleen Size-to-Platelet Ratio Risk Score Identifies Esophageal Varices in Chronic Liver Disease2016
Author(s)
Joshita S, Shibata S, Umemura T, Sugiura A, Yamazaki S, Fujimori N, Ichikawa Y, Komatsu M, Matsumoto A, Tanaka E.
Organizer
HCV 2016 23rd International Symposium on Hepatitis C Virus and Related Viruses (国際学会)
Place of Presentation
Kyoto, Kyoto International Conference Center
Year and Date
2016-10-11 – 2016-10-15
Int'l Joint Research
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