2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Collaboration and Influence in Postwar Avant-garde Art: Focusing on Sogetsu
Project/Area Number |
16K21071
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
友田 義行 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40516803)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本近代文学 / 映画 / 映像 / 前衛芸術 / アヴァンギャルド / 比較文学 / フィルム・アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の戦後アヴァンギャルド芸術運動において、文学・映画・戯曲等のジャンルを横断した実践がどのように展開されたかを、芸術家たちの協働とその影響から究明することにある特に「前衛芸術の震源地」と呼ばれた〈送別アートセンター〉周辺の芸術家たちに照準し、彼らの協働がどのような表現を生み出し、思想・社会・科学を表象したかを追究する。また、同センターを軸にして展開された共同活動が解体した後の動向も視野に入れ、戦後前衛芸術運動がその後の表現活動にどのような影響を及ぼしていったかを、安部公房・勅使河原宏の協働を中心に考察するものである。 2019年度は、勅使河原宏監督映画『サマー・ソルジャー』、安部公房原作/監督映画『時の崖』に、〈草月アートセンター〉での協働がどのような影響を及ぼしているかを考察するべく、草月会資料室で調査を行った。二人のコラボレーションが解体した後の作品であるにも拘わらず、互いの表現特質やテーマ、実験的試みが変奏されつつも共有され続けていることを探った。さらに、同時代のベトナム反戦運動との思想的関連も調べた。ただ、新型コロナウィルスの影響によって予定した出張の一部を断念し、調査に支障も生じた。 具体的成果として、勅使河原宏と土本典昭の交流を示す新資料を発見し、これを基に勅使河原の作家的特性をメディアとの関連から考察した論文を発表できた。加えて、以前にも論じた安部公房・勅使河原宏の映画『砂の女』を、その後の調査・考察を追加して、アダプテーションの観点から再論した論考も論文にまとめることができた。勅使河原宏の息女と、戦後前衛運動に参画した作曲家とのインタビュー記事の編集にも携わるなど、様々な方面で戦後前衛芸術運動の研究を推進することができた。
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