2017 Fiscal Year Research-status Report
DNA二本鎖間の架橋修復を指標とした新規の小頭症原因遺伝子変異の探索
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16K21084
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡 泰由 名古屋大学, 環境医学研究所, 特任助教 (60762383)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNA損傷応答 / DNA修復 / 遺伝性疾患 / ゲノム不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA損傷応答・DNA修復機構の異常が原因で発症する劣性遺伝性疾患として、ファンコニ貧血、コケイン症候群、ゼッケル症候群などが挙げられる。これら劣性遺伝性疾患の中には、疾患発症の原因となる遺伝子変異の同定に至っていない症例が多数存在している。また、これら劣性遺伝性疾患の共通の臨床所見として、先天性小頭症が挙げられる。そこで本申請研究の目的は、先天性小頭症患者から、DNA損傷応答・DNA修復機構に関連する新規の疾患発症因子を同定し、病態解明へと繋げることである。 課題1: 先天性小頭症患者由来の細胞からDNA損傷応答・DNA修復機構に異常を示す細胞を見つける。 課題2: DNA損傷応答・DNA修復機構に異常を示す患者のゲノムDNAを用いて、次世代ゲノム解析を実施する。 課題3: 課題1と課題2により絞り込まれた疾患発症候補因子の検証ならびに機能解析を行う。 H29年度は課題1-3を実施した。課題1に関しては、30症例以上の先天性小頭症患者由来の細胞を用いて、DNA損傷応答・DNA修復機構が正常に機能しているかを検討した。具体的には、蛍光免疫染色法ならびにウエスタンブロッティング法を用い、DNA損傷を誘導した後に、DNA損傷応答・DNA修復機構に関連した蛋白質の局在、発現量、翻訳後修飾を検討した。課題2と3に関しては、先天性小頭症を示す患者の次世代ゲノム解析を実施し、新規の疾患原因遺伝子変異を同定した。これらの患者由来の細胞を用いて細胞表現系解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先天性小頭症患者由来の細胞からDNA損傷応答・DNA修復機構に異常を示す細胞を見つけるためのスクリーニングを実施し、新規の疾患原因遺伝子変異を同定した。別家系二患者由来の細胞の表現系解析から、DNA損傷誘導剤に対して、患者由来の細胞は健常人由来の細胞と比較して、極めて高い感受性を示すことが明らかとなった。以上の結果から、本研究課題は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、先天性小頭症患者由来の細胞から、DNA損傷応答・DNA修復機構に異常を示す細胞を見つけるためのスクリーニングを実施する。特に、本研究課題で同定した新規の遺伝子変異を持った患者の探索に注力する。また、レンチウイルス遺伝子導入法により、当該遺伝子を患者細胞に相補した細胞を作成し、表現系解析に用いることで、患者細胞の表現系と遺伝子機能との関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由)昨年度に実施した先天性小頭症患者由来の細胞を用いたスクリーニング系の確立により、必要実験試薬のスモールスケール化を行うことができたため。また、新規遺伝子変異の同定に伴い、当該遺伝子機能・細胞表現系解析に注力したため、スクリーニング実施数を予定より減らしたため。 (使用計画)予定していたスクリーニングの実施と当該遺伝子機能・細胞表現系解析に使用する。
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