2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K21086
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 勇 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (00650649)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 資源開発 / 社会紛争 / 抗議運動 / 統計分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、予定通りに進展した。平成28年8月16日~9月2日にボリビアに出張し、データ提供について複数の関係者にコンタクトを取ったほか、現地の識者や政府関係者ともコンタクトし、分析に必要なデータセット作成に向けた調整を進めることができた。 また本年度には、様々な国際レベルでの交流に参加することで、有益な情報収集と意見交換の機会を得ることができた。平成28年6月末には、東京大学に日本学術振興会外国人研究員として滞在していた研究者を名古屋大学に招へいし、科研課題に関連したセミナーを開催した。平成28年7月2日~4日には北京大学で開催された国際シンポジウムに参加し、科研テーマに関連した発表を行ったほか、意見交換をすることができた。さらには、平成29年1月7日~9日に神戸大学と京都大学にて開催された2件の国際シンポジウムに参加し、科研課題に関連した発表を行って、意見交換をすることができた。これらは次年度以降の研究課題の進展に資するネットワーク形成の機会となったほか、研究課題を将来的に国際的舞台で発表するための第一歩となったと言える。 さらには、科研課題について有益な文献資料を集めることができた。これらをもとに文献読解を勧め、データ分析の方向性やイメージされる因果メカニズムについて一定の見通しを得ることができた。また資源開発に関連する現況やラテンアメリカの資源開発国の事例についてこれまでの知見をまとめたものとして、平成28年9月~11月にかけて図書1件と論文2件を発表した。これらは日本だけでなく研究対象国であるボリビアでも発表されたものであるため、次年度以降の研究課題の遂行にあたって有益な参照点になるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定されていたボリビアでの長期的な社会紛争に関する個票データの提供については、データを保有するCERES/CIUDADANIAとの間では直ちに進めることが難しいことがわかり、今後の研究課題の進捗に影響することが予想される。しかし、ボリビアの現地機関と早期にコンタクトを取ったことで、既に同データの大要をまとめた出版物が公刊されているとのことであった。そこでこの出版物を入手し、分析を進めることとした。他方で、CERES/CIUDADANIAに代わる別のデータ提供元として同じくボリビアのFundacion UNIRともコンタクトをとった。こちらからはより短期間ではあるものの、公開されていない詳細なデータについて有償での提供を受けることができた。こうした代替的手段を模索したことで、データセット作成と分析手法について早期に練り直すことができ、概ね順調に進めることができている。 他方で、当初の予定では研究課題に関して必要となる重要文献や資料の収集が平成28年度の課題であった。これについては、既に得られている資料に加えて、経済財務省から詳細な地方レベルを含めた予算分配状況についてのデータを入手できた他、スペイン語・英語・日本語での主要な専門資料を入手することができた。総じて、理論枠組みと仮説構築に必要な資料を得ることができ、順調に進めることが出来ている。 さらには、複数の国際会議や学術交流の機会を積極的に利用してきたことで、関連研究や類似テーマについての知見を大いに増やすことができ、研究成果をさらに進める上で重要となるネットワークの形成や意見交換を行うことができた。 以上より、一定の予想外の事態は生じたが、それへの十分な対応を取ることができ、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度については、予定通りデータセットの構築と分析作業、成果発表への準備を進める。既にある程度データセットの構築に必要なボリビアについての情報が得られているため、それを丁寧に分析モデルに落とし込む作業が最も必要であると考えられる。そのため、どのような分析を行うことが研究課題のもつクエスチョンに答える上で最適かを、既存の最新研究および手持ちのデータと対照させながら練り上げていく作業が必要となる。 このような目的を達成するため、複数の機会を予定している。平成29年4月29日~5月1日にペルーはリマで開催される世界最大の国際学会であるLatin American Studies Associationの年次大会に参加する。この大会では、ボリビアのみならず、開催国ペルーで盛んな資源開発に関連する抗議運動に関する研究が、政治学、社会学、地域研究など学際的な視野で発表される予定であり、そこでの情報収集は本研究課題にとってのブレイクスルーを見つける点で、最もハイレベルでアップデートされた機会となるであろう。また、平成30年度以降に、研究成果を発表する場としても大いに期待されるため、重点的に情報収集を行いたい。 さらには平成29年6月17日~18日には、日本比較政治学会にて、資源政治に関するパネルに参加し、そこでラテンアメリカ全体の資源開発と抗議運動について研究発表を行う予定である。これは一国ではなく地域全体の傾向についての統計分析を中心とした研究成果となる予定であるが、本研究課題の研究成果の一部となるものであり、国際ジャーナルへの投稿を予定している。 他方で、本年度後半には別の機会にてボリビアに渡航する可能性があるため、その際に現地関係者とコンタクトをとり、データセット作成・仮説構築・分析にむけた作業を進めていく。
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Causes of Carryover |
当該年度において購入する予定であり、既に発注していた取り寄せ洋書にき、出版社からの入手が遅れ、最終的に困難となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発注していた洋書に代わる文献を精査し、随時発注を行う。
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Research Products
(11 results)