2017 Fiscal Year Research-status Report
高温度域におけるコークスの燃焼・ガス化挙動および灰粒子特性の解明
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16K21089
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植木 保昭 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (90552654)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コークス / 燃焼 / ガス化 / 灰粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
コークスの燃焼およびガス化反応挙動を基礎的に検討するために、コークスの燃焼およびガス化実験を実施した。粒径10~20mmのコークスを白金製の試料ホルダーに入れて、1400℃に昇温した縦型管状電気炉の反応管内に降下させた。この際の雰囲気ガスはN2ガスである。反応を開始させるために雰囲気ガスを、燃焼実験の場合は空気、ガス化実験の場合は50%CO-50%CO2混合ガスに切り替え、反応率80%の反応中断試料を作製した。実験後、反応中断試料および実験前のコークス試料をエポキシ樹脂により樹脂埋めし、真空引きを行い、樹脂の固化後、切断・研磨した。SEMおよびデジタルマイクロスコープにより得られた観察画像から画像処理ソフトにより個々の灰粒子の粒子径および各試料の気孔率を測定した。 その結果、原コークスと比較し、燃焼後のコークスでは粒径の大きな灰粒子の割合が大幅に増加しており、一方、ガス化後のコークスは原コークスとほぼ同じ傾向を示した。また、原コークスおよび燃焼後コークス試料の気孔率はそれぞれ約31%および約32%であり、燃焼反応によって気孔率は変化しなかった。一方、ガス化後のコークス試料の気孔率は約40%と原コークスと比較して増加した。さらに、実験前後の試料径を測定することで収縮率を算出したところ、燃焼では約46%であったが、ガス下では約18%に止まった。同じ反応率、つまり、固定炭素の消費量が同じにもかかわらず、試料の収縮率が異なることから、燃焼ではコークス表面で炭素質が消費され、ガス化ではコークス表面のみならずコークス内部の炭素質も消費されることで、燃焼の収縮率がガス化よりも大きくなるものと考える。これは燃焼とガス化における気孔率の差異からも示唆される。このような燃焼反応およびガス化反応における炭素質の消費のされ方の相違が灰粒子挙動の差異に起因するものと推察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは順序が逆になったが、コークスの燃焼およびガス化過程における灰粒子特性、反応過程におけるコークス炭素質の消費挙動および構造変化について基礎的に検討した。灰粒子特性として灰粒子径、構造変化として気孔率の定量的な評価を行った。以上のことから、現在までの進捗状況としては、おおむね順調に進捗しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、研究計画の予定通りに、I 型タンブラー試験装置を用いて反応中断試料からの粉発生量を測定することで、コークスの燃焼およびガス化反応における灰由来の粉発生挙動について検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究の試料として用いているコークスに含まれる灰分の溶融特性温度分析(灰の軟化点・融点・溶流点)を依頼予定だったが、分析試料の準備が間に合わず、平成29年度に実施できなかったため。 (使用計画)コークスに含まれる灰分の溶融特性温度分析のための分析試料を作製し、平成30年度中に分析依頼する予定である。
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