2016 Fiscal Year Research-status Report
mRNAの化学合成を可能にするRNAライゲーション反応の開発
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16K21091
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 康明 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (80769977)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核酸 / ライゲーション / 化学合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、メッセンジャーRNA(mRNA)などの長鎖核酸の化学合成を可能にする核酸のライゲーション反応の開発を目標とした。ライゲーション反応の形式として、末端にホスホロチオエート基を持つ核酸鎖を求電子剤で活性化し、生じた求電子種に対してアミノ基末端あるいはチオール基末端を有する核酸鎖を求核攻撃させる形式を設計し、検討を行った。この反応形式で生じる連結構造は、天然のホスホジエステル結合に近いホスホロアミデート結合あるいはホスホロチオレート結合であり、天然体に近い機能を持つことが期待される。 アミノ基末端を有する基質の場合、以前の検討からホスホロチオエート基の活性化剤としてDNFB(2,4-ジニトロフルオロベンゼン)が最適な求電子剤であることを見出していた。反応条件を最適化することで、生成物が112塩基長などの長鎖のDNA合成にも適用することが可能であった。また、より実用性に優れた手法としてDNFBで活性化されたDNAを単離せずにライゲーションを進行させる反応条件も見出した。一方チオール基を有する基質では、DNFBでは反応は進行せず最適な活性化剤の探索が必要であった。様々な活性化剤を検討したところ、S-2-pyridyl-2,4,6-trimethyl benzothioateを用いることで、ホスホロチオエート基とのジスルフィド結合で連結されたライゲーション体が良好な収率で得られることを見出した。本反応はチオール基の高い求核性を反映し、短時間で完結する反応であり、細胞内での効率的な反応にも展開が見込まれる。 またこれらのライゲーション反応とは別に、予備的な結果ではあるが、核酸鎖の求電子的な活性化のステップを必要としない新規のライゲーション反応系を見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の種類の核酸の連結反応条件を見出すことができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したライゲーション反応を基盤としてmRNAやベクターなどの機能性核酸分子の合成と、その機能評価を行う。また新規の反応形式によるライゲーション反応の開発にも取り組み、細胞内での機能性核酸構築を可能にする手法の開発も目指す。
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