2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Representation of Beat Culture in American Comics: The Culture Between Mainstream Culture and Counterculture
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16K21100
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
社河内 友里 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 准教授 (30616347)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビート・ジェネレーション / アメリカン・コミックス / カウンター・カルチャー / ヒップスター / 消費文化 / ビートニク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1950~1960年代のアメリカにおけるビート・ジェネレーションの文化の、その後の時代における受容形態を、1950~2010年代までのアメリカンコミックスにおける表象から明らかにするものである。特に1990~2010年代の受容形態を明らかにすることを目的としている。 令和4年度は特に2010年代以降のビート文化受容を考察した。ジャック・ケルアックの『地下街の人々』の現代社会における受容形態から、2010年代以降のキャンセルカルチャーとビート文化受容を関連させて論じ、日本アメリカ文学会中部支部大会のシンポジウムにおいて発表した。また、2010年代以降のマーベルコミックスおよびDCコミックスにおけるビートニクの変容を、ジェンダーと文化資本の観点から論じ、国際会議2023 Conference of the Popular Culture Association /American Culture Association (U.S.)において発表した。 本研究では、全体を通して、ビート文化の多様なリバイバルが見られる1990~2010年代のコミックスに注目し、そのビート文化受容を、主流文化と対抗文化の中間的な文化に焦点を当てながら考察した。そして、その中間的文化には、現代ヒップスター文化が大きく関わっていることを明らかにした。1990年代以降におけるビート文化受容が、現代ヒップスター文化の内包する人種、ジェンダーや、反知性主義などの問題に深く関係していることが明らかとなったことは、大きな成果である。また、当初、1990年代以降のオルタナティブコミックスにおいて、ビート文化リバイバルは批判対象であったと予想したが、批判だけでなく、憧れや自嘲など、より多様な態度が示されていたことが明らかとなったことも、ビート文化受容の変遷、ひいては現代におけるカウンター・カルチャーの形態を紐解くための重要な成果である。
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