2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Basic Study on a Comprehensive Understanding of the History of Medieval Chinese Studies in Japan.
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16K21103
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高田 宗平 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 客員研究員 (80597188)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 『修文殿御覧』 / 『藝文類聚』 / 類書 / 藤原南家 / 壬生坊城家 / 廣橋家 / 『論語義疏』 / 楊守敬 |
Outline of Annual Research Achievements |
①清原家以外の公家・官人層における漢学の実態を解明するため、年号勘文資料に着目し、『修文殿御覧』の利用の検討を通じて、中世における類書利用の一斑を明らかにした。(1)鎌倉中期では藤原南家成季流の藤原経範、南北朝初期では同家同流の藤原房範が『修文殿御覧』を披覧し得る環境にあり、藤原南家成季流には相伝していたと推測されること、(2)鎌倉後期では菅原氏唐橋家系の壬生坊城家の菅原在登が『修文殿御覧』を披覧し得る環境にあり、菅原公輔が属する系流には相伝していた可能性が高いこと、(3)南北朝期から室町時代前期では藤原北家日野流の廣橋仲光が『修文殿御覧』を披覧し得る環境にあったと推定されること、(4)鎌倉中期の藤原北家日野流の廣橋経光は『藝文類聚』を披覧し得る環境、または所蔵していたと推測されることなどを明らかにした。禁裏・公家の周辺において『修文殿御覧』が受容されていた一証左を示し得、改元定の仗議の場で『修文殿御覧』に基づいた漢学の知識が活用されていた事実は大きい。従来、中世の漢学と言えば、五山禅林や明経博士家の清原氏が強調されて、これらの研究に偏重が見られる傾向にあるが、紀伝道を家職とする文章博士家出身ないしはその分流の菅原氏唐橋家系壬生坊城家、藤原南家成季流、藤原北家日野流の漢学の実態の一斑を解明することができた。 ②日本中世における『論語義疏』受容の解明の一端として、台湾故宮博物院図書文献館所蔵の楊守敬観海堂旧蔵鈔本『論語義疏』の調査・分析した。同館所蔵鈔本『論語義疏』の詳細な書誌事項を提出し、先行研究では指摘されていなかった書写時期検討の重要な手がかりとなる書入などを提示し、同館所蔵鈔本『論語義疏』の書誌事項の全容を明らかにし基礎的研究を推進した。
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Research Products
(3 results)