2018 Fiscal Year Research-status Report
経済成長における規模,人的資本,研究開発の相互作用と特許の質に関する分析
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16K21110
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金原 大植 神戸大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD) (60739960)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | R&D / 研究開発の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以前より取り組んでいた,R&Dにおける知識の外部性及び,希釈効果が生じない設定下で,人口成長とR&Dを単一のモデルで扱う事の出来るモデルに関する研究に関して.2018 Asian Meeting of the Econometric Societyで研究報告を行い,そこでのより理論的な側面を強調するほうが望ましいとのコメントを反映させ,共同研究者である矢野誠氏(経済産業研究所)と共同で理論的な側面,特に人口が一定でなければ,人口減少のケースでもサイクルが生じるといった側面を強調した内容になるように改訂を行っている. またR&Dの質に異質性を導入した研究では,理論に関してはRomer型のR&DモデルにR&Dの結果生じた中間財のクオリティーに異質性を導入したモデルを構築した.通常のRomer型のR&Dモデルでは中間財のクオリティーの異質性を扱うことは困難であるが,最終財生産を合成企業と最終財企業に垂直分離し,前者の(中間財を中間投入物に合成する)生産関数を,中間投入物生産量が各中間財の投入量を線形結合で決定されるよう設定し,その上で後者の生産関数を中間投入物と労働に対して一次同次になるようにする事で,クオリティーの分布関数に強い仮定を置くことなく,異質性を扱うことに成功した.その結果,技術水準は中間財バラエティ量と中間財のクオリティーの平均の双方から構成され,均斉成長経路において中間財増加率と経済成長率の間に一対一の関係が失われること,R&D促進政策は短期的にも長期的にも中間財のクオリティーを低下させ,通常のRomer型のR&Dモデルよりもその経済成長率への効果は薄い事が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人口成長とR&Dに関する研究に関しては未だ完成に至らないなど,遅れていると言えるが,理論的な結果を得ることは困難であると想定していた中間財のクオリティーに異質性を導入した研究に関しては,強い追加的性質を課すことなく複数存在した分析を困難にする要因を解消でき,理論的な結果を得る事に成功したため想定以上の結果を得ているため.
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Strategy for Future Research Activity |
人口成長とR&Dに関する研究に関してはこれまで得られた結果が英文査読誌に採録されるように作業を進める. R&Dの質に異質性を導入した研究に関してはこれまでに行った実証結果と今年度に得た理論的な結果をあわせて論文を作成し英文査読誌に投稿を行う.
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Research Products
(2 results)