2017 Fiscal Year Research-status Report
土構造物の侵食による経年劣化機構の解明とモニタリング手法の開発
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16K21112
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐藤 真理 島根大学, 生物資源科学部, 助教 (60749183)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 内部侵食 / 土砂災害 / 模型実験 / 文献調査 / 災害対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主として二つの課題を実施した.一つ目として粒径の異なる二つの地盤が重なった時の、内部侵食による影響を調べた.二つ目として既往の災害事例での専門家による初期対応の実施可能性について調べた.二つの研究を併せることで基礎的なメカニズムの解明からそれを用いた実務での対応までを包括的に検討することを目指した. 一つ目の研究としては二層地盤を模擬した模型実験を行った.この実験では左右から浸透流を流し、土層底部中央への水の流れが発生する場合に内部での土砂移動と強度変化がどのようになるかを調べた.その結果二層地盤の上層部細粒土から下層地盤の粗粒土に向かって多くの土砂が流出移動することが明らかとなった.また流出した細粒土の粒径はある範囲に集中しており、細粒土の中でも細かい成分が粗粒土の中で遠方まで押し流され運ばれる実態が示された.侵食量は浸透時間・浸透量が多いほど増える傾向が見られた.また強度に関しては一定の傾向は見られなかったものの、局所的に強度が低下している個所も確認された. 二つ目の研究としては、災害発生時の研究者による迅速な活動の可能性について文献調査を行った.これは土砂災害等発生時からその後の調査研究に関与するまで期間が、所謂専門家が行える活動が少ない空白期間であるという点に着目し、その期間に寄与できる活動について検討をこなったものである.今回は初の試みであるため資料が豊富な阪神大震災に着目し、主として神戸新聞の専門家の意見欄の傾向を調べた.その結果、特に地震動や構造などの科学的学術的な知見について重点的に意見を求められていることが分かった.ただし記者の社説に比べると分野には偏りがみられ、専門家自身がどのように動き災害時対応に寄与していくかという部分には課題があることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昨年度に準備を行った模型実験と文献調査について一定の結果を出すことが出来、それらをもとに研究発表論文を投稿するなど概ね順調に進展している.またそれぞれの実験結果・調査結果としてもこれまでは分からなかった新たな知見を得ることが出来たため、最終年度に向けて更にこの研究を発展させる土台が構築した.ただし当初予定していた数値解析や実地盤でのモニタリングについては機材の準備がまだ十分ではなく、未だ実施のための準備を行っている状況に留まる.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度であるため、本年度の研究内容をさらに進め実験文献調査共に、本年度では明らかにすることの出来なかった、詳細な部分についての検討を実施する予定である.具体的には模型地盤に関してはセンサーを埋めた実験を実施することや地盤条件を変えること、強度測定について測定手法を改善することを検討している.文献調査については本年度は神戸新聞の災阪神大震災直後を対象にしたが、対象を土砂災害にした調査やさらに直近の災害に関する調査を実施することでさらなる検討を行いたい. また地盤の原位置モニタリングや浸透流数値解析についても現在整備を進めており、現在進めている研究の結果を活用する形として研究を行う予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は学会発表等の出張が少なく、また調達した実験機材の一部は別経費で別途購入できたものをそのまま用いることが出来た.そのため当初予定していた予算よりも少ない額で実験設備をそろえることが可能であった.
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Research Products
(2 results)