2016 Fiscal Year Research-status Report
再エネ大量導入に向けたエネルギーインフラ再構築に関する総合的研究
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16K21119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾形 清一 京都大学, 経済学研究科, 特定助教 (60622991)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 費用分析分析 / スマートグリッド / 費用便益分析 / 電力系統 / エネルギー転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギー大量導入に向けた欧州諸国のエネルギーインフラ拡充策について、その制度や現状について分析を実施した。特に変動型再生可能エネルギーの大量導入の課題として、欧州諸国の電力系統の運用や課題等についての分析を進めている。 ドイツ政府は、2000年初頭から再生可能エネルギー導入を促進するための様々な政策を実施し、直実な成果を生み出している。他方で、今後、さらに再生可能エネルギー導入を実施するためには、再生可能エネルギーに対応した電力系統の拡充が重要な課題となっている。本研究では、ドイツや欧州におけるグリッドインテグレーション研究を中心に文献調査や聞き取り調査を実施した。再生可能エネルギー導入が先行するドイツでは、再生可能エネルギー導入に伴う電力系統拡充に関する課題は、電力系統の①総費用の抑制、②負担方法、③拡充に関する事業者インセンティブがある。今後、①については、変動型再生可能エネルギー導入に対応するために、電力系統の運用等において柔軟性資源(デマンドレスポンスやエネルギー貯蔵、ディスパッチ電源、国際連係線の活用)を活用し、再生可能エネルギー大量導入に伴うエネルギーインフラ拡充に関する総費用を抑制できる可能性が文献等でも多数指摘されている。そのため、ドイツと我が国の再生可能エネルギー導入戦略(政策)を比較した場合、我が国の電力系統の運用課題として柔軟性資源の活用に焦点が当たっていない。この点が、今後の課題となる。合わせて、ドイツでは、電力系統の拡充計画(高圧鉄塔の建設)について住民の反対等によって計画が予定通り進められていないという課題が現実化しつつある。これによってドイツ政府の再生可能エネルギー目標にも影響を与える可能性がある。このような新しいタイプの受容性の課題についても、対応策の検討が必要な段階に入ったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
再エネ大量導入が先行して進展している欧州諸国のエネルギーインフラ政策について、制度概要や現状の課題等ついて、把握できた。合わせて、調査過程において、中国やアメリカカリフォルニア州における状況も分析でき、当該課題について、多面的な国際比較を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
エネルギーインフラの計画策定の根拠となる費用便益分析、シナリオ分析や各種の評価手法等について、欧州や米国などにおける現地調査を実施する、また、海外研究者との研究会等を開催し、当該課題について検討を深める。
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Causes of Carryover |
当初、海外調査を実施する予定だったが、国内に来訪した海外研究者への聞き取りや他経費で実施した研究調査、今年度の計画は概ね達成されたため、海外調査費用を抑制することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、当該研究を進める海外研究者との打合せや国際会議等への参加に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)