2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K21121
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉山 真魚 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70625756)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 田園的なもの / 静動一如 / 抽象化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は20世紀前半の英国建築に関わる情報整理,19世紀末から20世紀初頭の英国デザインの作品研究,1920年代の英国建築の日本への移入に関する研究を中心に行った。研究成果は以下の5点にまとめられる。 1)20世紀前半の英国建築に関わる思想家・実践家の整理:ローレンス・ウィーバー(前年度から継続)とウォルター・クレインを中心に,かれらの活動を整理するとともに,著作を読み進めた(継続中)。2)19世紀末から20世紀初頭の英国デザインの作品研究:前年度に引き続きクリストファー・ドレッサーとウィリアム・モリスのパタンデザインの構成原理を読み解いた。モリスの「葡萄」および「林檎」の詳細分析を試みた。また、クレインの作品研究に着手し始めた。3)1920年代の英国建築の日本への移入に関する研究:分離派建築会のメンバーに見られる「田園的なもの」への志向性と英国建築の関わりを検討した。主に瀧澤真弓設計の日本農民美術研究所の設計経緯について山本鼎および柳宗悦との関わりとともに調査した。4)1920年代に展開された民芸運動の思想面に関する研究:柳宗悦と英国の関係を中心に、自然の模様化の問題について分析した。柳の説く「用美不二」および「静動一如」という考え方に着目し、英国のウィリアム・ブレイクの思想やモリスの作品との連関を探りながら,「抽象化の程度」という日英の建築および装飾を対照する際の観点を見出した。5)研究成果の公表:柳宗悦の自然観に関するもの,モリスの作品分析に関するもの,計2編の論考にまとめた。また、日本建築学会やイギリス・ガーデン研究会で研究内容を発表する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画における2年目となる本年度,昨年度に引き続き19世紀との関連に注目しながら,20世紀前半の状況について考察できた。調査を進める中で,当初研究計画に含めていなかったが本研究にとって重要と思われるクレインの思想と作品の解明という課題が浮上した。本年度,クレインに関する予備的研究を進めることができたので,次年度,他の研究対象も含めて総合的に検討できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,主として,クレインの思想と作品の分析,分離派建築会のメンバーに見られる「田園的なもの」への志向性に関する分析,これまでの研究内容に関する総括(「非モダニズム」の視点)を行う予定である。シンポジウム等での発表を通じてより多角的に検討する。
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Causes of Carryover |
海外旅費として当該金額分を計上していたが、調査予定地の情勢が不安定であったこと、日本国内における英国受容に関する調査・研究を当初の予定以上に実施したことにより、使用しなかった。次年度予定している海外旅費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)