2018 Fiscal Year Annual Research Report
Tree root carbon dynamics focusing on the linkage between above and below ground ecosystems
Project/Area Number |
16K21131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安宅 未央子 京都大学, 農学研究科, 特定助教 (00757924)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 炭素動態 / 根圏呼吸 / 滲出物 / フラックス / 細根 / 窒素施肥 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、冷温帯落葉広葉樹二次林において、5年間にわたって窒素施肥が行われたプロットと対照区とを比較することで、窒素負荷に対する根圏炭素動態の応答を明らかにすることを目的とした。根圏炭素動態に寄与する根圏呼吸や滲出物による炭素放出を定量するために、栄養塩液を満たしたシリンジサイズの容器を母体とつながった状態のミズナラ細根にとりつけ24時間培養した。その後、根の生理活性が落ちないように現場で迅速に根圏呼吸の測定を行い、化学特性(窒素)や形態特性(直径・長さ・体積・表面積)を測定した。また、根圏・バルク土壌の化学分析(炭素・窒素・溶存有機炭素)も行った。 根圏呼吸量や滲出物量は根の窒素含有率と正の関係を示した。窒素施肥区と対照区を比較すると、重量あたりの根圏呼吸量と表面積あたりの滲出物量は、窒素施肥区においてわずかに大きい傾向を示した。また、根圏土壌とバルク土壌の溶存有機炭素量の差は、窒素施肥区で2倍高い値を示し、施肥区において滲出物量が大きいことと対応した。一方で、施肥区において根圏呼吸に対する滲出物量の割合が小さかった。そのため、窒素施肥区においては、根圏により多くの炭素が配分されるが、施肥によって土壌窒素が制限要因でなくなった結果、根圏呼吸に対する滲出物量の割合が小さくなったと考えられた。 これら根圏炭素動態に関する知見を基に、地下部-地上部生態系の炭素配分・消費プロセスを明らかにすることができれば、土壌圏炭素動態に関する理解が進むと考えている。
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Research Products
(7 results)