2017 Fiscal Year Research-status Report
薄明視という新たな視点による霊長類の3色型色覚の優位性の検証
Project/Area Number |
16K21132
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 真理 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (50771680)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 3色型色覚 / 薄明環境 / 霊長類 / 新世界ザル / 色覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、同一種内に2色型色覚と3色型色覚の個体が混在する広鼻猿を対象として、昼行性霊長類にみられる3色型色覚は、薄明環境下で赤色系の食物(果実)を効率的に採食することに優位性があるという仮説(薄明適応説)の妥当性を検証することを目的としている。本年度はカルガリー大学に滞在し、コスタリカ共和国のサンタ・ロサ国立公園に生息する野生のノドジロオマキザルの観察によって得られた薄明環境の採食行動のデータ分析をおこなった。また、食物の色を分光光度計を用いて測定する方法を習得した。自然環境下における薄明環境での採食行動のデータを補足するために、日本モンキーセンターで飼育されているボリビアリスザルを対象とした行動観察にむけて、飼育個体のDNA試料を収集し、各個体の色覚型を判定するためのDNA解析をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は行動観察の条件が整わなかったことで、当初の予定よりも野外調査に時間を費やすことができず、十分な行動データと植物サンプルが集まらなかった。以上の理由により、「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ひき続き、サンタロサ・国立公園で野外調査をおこなう。今後は、飼育下の広鼻猿も観察対象とすることで行動データの充実をはかる。また、色覚モデルの構築によるred-greenシグナルの有効性を調べる。
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Causes of Carryover |
コスタリカ共和国での野外調査にかかわる費用が当初の計画よりも少なかったため。次年度におこなう予定の野外調査で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 日本のサル2017
Author(s)
西川真理
Total Pages
336
Publisher
東京大学出版会
ISBN
978-4-13-060233-4