2016 Fiscal Year Research-status Report
始原生殖細胞におけるエピゲノム再編成に関わるクロマチン制御因子の動態
Project/Area Number |
16K21133
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横林 しほり 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (20615736)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 哺乳類 / 始原生殖細胞 / 多能性幹細胞 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞系列は次世代に引き継がれる唯一の細胞系譜である。哺乳類では、生殖細胞の発生初期にゲノムワイドなエピゲノム変化が観察されるが、その制御機構はほとんどわかっていない。本研究では、抑制的クロマチン形成に関わるエピジェネティック因子群に着目し、それらのクロマチン相互作用領域および核内動態を可視化することを目的としている。前年度は、多能性幹細胞を用いて、クロマチン免疫沈降法の条件検討を行った。抑制的クロマチンは、構成的ヘテロクロマチンと条件的ヘテロクロマチンに分けられる。構成的ヘテロクロマチンには、ヒストンH3の9番目のリシン残基に付加されたトリメチル修飾基(H3K9me3)やH4K20me、およびHP1の相互作用が観察される。条件的ヘテロクロマチンには、H3K9me2やH3K27me3の相互作用が観察される。H3K27me3はポリコーム複合体PRC2によって媒介されるが、一方、ポリコーム複合体PRC1は、H3K27me3への結合活性を有し、H2AK119へのモノユビキチン付加を媒介することが知られている。また、PRC1はクロマチンのコンパクションや高次構造形成に寄与していることが報告されている。よって、これらのヒストン修飾およびクロマチン結合タンパク質に着目し、固定・クロマチンの可溶化・剪断・抗体反応の至適条件の検討を行った。これらの実験と並行して、NGS解析のための解析環境のセットアップおよび解析手法の習得を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多能性幹細胞の細胞株による差異(エピジェネティック状態・始原生殖細胞様細胞の誘導効率)が認められたため、解析に使用する細胞株の評価・選定が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、多能性幹細胞における抑制的エピジェネティック因子群のクロマチン相互作用領域のデータ取得および解析、さらに多能性幹細胞から始原生殖細胞様細胞の試験管内誘導系を用いた解析を行っていく予定である。さらに、生体内生殖細胞への適用を検討していく予定である。
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