2016 Fiscal Year Research-status Report
20世紀の南アジア・イスラーム思想の再構築に向けた基礎的研究
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16K21136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須永 恵美子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任助教 (00722365)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パキスタン / 南アジア / イスラーム / 地域研究 / ウルドゥー語 / ムスリム / マウドゥーディー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、研究成果の発信を積極的に行った。海外では、8月にイギリスのダラム大学で研究発表を行った。これは、南アジアの宗教家マウドゥーディーがどのように利子の禁止についての論稿を発表していたのかを明らかにするものであった。イスラーム経済を専門とする同大学ビジネススクールの教授、研究者らから、有益なコメントを多数いただけた。さらに、この発表に前後して訪問したレスター・マークフィールド高等教育研究所では、南アジアを専門とする多数の教員・研究者と情報交換をした。同研究所に隣接するイスラミック・ファウンデーションも訪問し、国内の改宗ムスリムのサポートを行うニューイスラムプロジェクトでのインタビューを行った。国内では、5月に日本中東学会年次大会で、9月に日本南アジア学会全国大会で研究発表を行った。出版物の成果としては、パキスタン・カラチから出版された英語・ウルドゥー語の書籍に英語論文を寄稿した。日本語では東京外国語大学南アジア研究センターよりワーキングペーパーを刊行した。計画していた資料収集については、日本国内で有数のウルドゥー語コレクショを誇る、京都大学附属図書館のアキール・コレクションにて、マウドゥーディーが1955年出版のウルドゥー語の経済書籍『人間の経済的問題およびそのイスラーム的解決』を入手した。これは、近代イスラーム経済の思想的原泉と言われる一冊で、国内・海外の主要図書館に所蔵されている同書のなかでも、最も版の古いものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、イギリスのダラム大学で研究発表および調査を行った。国内での成果発表、論文としての成果発表も進んでおり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、パキスタンの宗教家・マウドゥーディーの主題年表を作成する。これは研究会での発表とそれに対する頂いたコメント・意見等を反映させた上で、再来年度以降に和文で公開する予定である。日本国内には京都大学附属図書館のアキール・コレクションに関連資料が所蔵されている。この中にはマウドゥーディーに関する著作が多数含まれており、引続き同コレクションの確認を行う。
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Research Products
(6 results)