2016 Fiscal Year Research-status Report
3次元構造規制によるルイス塩基の精密制御と反応場の開拓
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16K21137
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小西 彬仁 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10756480)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ルイス塩基 / カゴ型配位子 / 金属配位子 / π共役系 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子変換反応において、豊富存在元素の有効活用が持続的発展の観点から求められている。ルイス酸/塩基は遷移金属触媒とは一線を画する反応試剤として興味が持たれるが、精緻な性状調節が難しく、その反応性の制御が課題となっている。本研究では、リン原子周囲に立体制御を施すことで、ルイス塩基性の精密制御と活性化法の確立を目指した。まず、リン原子へカゴ型の構造規制を施し(カゴ型ルイス塩基錯体の創成)、ルイス塩基性の精緻な制御を達成する。さらに、リン原子周囲をパイ電子豊富な環境(π-Pocket)下に置き、π電子密度認識に基づく基質選択性の発現について検討を行う。本年度はカゴ型ルイス塩基の性状評価として、以下の2点について検討を行った。 ①配位子上への置換基導入によるルイス塩基の電子的制御 置換基導入、特にリン原子まわりに芳香環・ハロゲン原子を導入したカゴ型ルイス塩基を合成することが出来た。ルイス塩基部位であるリン原子から離れているにもかかわらず、これらの置換基によってリンのルイス塩基性が変化することを、NMR測定、理論計算から明らかにした。 ②新規リン配位子としての展開 得られたカゴ型リン錯体を、パラジウム反応の配位子として用い、その性質を評価した、導入した置換基の有無・また種類によって、基質選択性が発現することを明らかとした。 これらの評価は、特異な構造を有するルイス塩基がもたらす反応場・構造物性ー相関を包括的に評価するもので、その興味深い性質の一端を垣間見ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的であるカゴ型ルイス塩基錯体の合成・単離に成功しており、またいくつかの誘導体の合成も達成できた。その構造と物性の相関を明らかにするとともに、遷移金属への配位子としての検討も行うことが出来た。 これらの評価を通じ、設計したカゴ型ルイス塩基は興味深い性質・反応性を有していることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は特に以下の点に傾注し研究を実施する。 ①ルイス塩基の系統的評価法の確立 カルコゲンや白金との錯体を合成し、NMR測定を用いて、そのルイス塩基性度を系統的に見積もる。DFT計算も積極的に活用し、実験と理論の両面から考察を進める。 ②基質選択性の発現 すでに一定の成果を得ているが、その遷移状態や基質活性化/選択の機構については未解明のままである。遷移金属との錯体の合成、よりよいモデル反応系の探索を中心に実施する。
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