2017 Fiscal Year Research-status Report
脳磁図を用いた色彩調和判断における時間的機序の解明
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16K21148
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
池田 尊司 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (80552687)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | MEG / 色彩調和 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、感覚入力から1秒ほどの間に行われる判断がなされるまでに、脳のどの領域がどのようなタイムコースで賦活しているかを、時間分解能に優れる脳磁図(MEG)で検証することである。H29年度には、MEGによって得られた脳神経活動データの時間周波数解析を行った。定常的・周期的な音刺激を入力すると、聴覚野で聴性定常反応(auditory steady state response:ASSR)と呼ばれる刺激と同期した脳活動が得られることが知られており、24名の健常成人を対象とした実験とデータ解析を行った。25ms周期で現れる刺激に対しては、一次聴覚野に推定される活動電流源が40Hzで振動していたことと、刺激の提示タイミングが脳活動の位相を決定づけていたことを明らかにし、直前に施行した経頭蓋直流刺激(transcranial direct current stimulation:tDCS)に対して頑健であったことを論文にて報告した。また、H29年度には、14名の健常成人を対象として色彩調和判断時の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)データの検討を行った。配色刺激に対して、調和の判断を行っているときと、色差の判断を行っているときの比較を行ったところ、同様の刺激を提示していても色彩調和判断時に両側の紡錘状回・頭頂間溝・下前頭回・前部帯状回で活動が高まっていたことがわかった。fMRI実験で得られたデータをもとに関心領域を設定し、MEGデータ解析における足がかりとする。加えて、前年度より課題となっていた前頭前野の活動の抽出においては、ASSR論文で用いた試行間の位相同期、そして領域間の位相同期を援用しつつ、機能的ネットワークの解明を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
fMRIによる関心領域の設定と、MEGデータ解析手法の整備を行った。MEGデータ解析においては、当初仮説を設定していた扁桃体の活動を抽出することが困難であることがわかり、実験パラダイムの見直しを進める。
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Strategy for Future Research Activity |
データ取得の完了と論文執筆に努める。また、行動指標として眼球運動データを併用する予定である。
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Causes of Carryover |
MEGに対する負担額が軽減されたため、次年度の実験時に眼球運動測定装置を導入し、視線計測データを加えた解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)