2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of noncoding RNAs that regulate memory and learning using C. elegans
Project/Area Number |
16K21158
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂口 愛沙 大阪大学, 全学教育推進機構, 助教 (90608697)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機能性RNA / 線虫 / ドーパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
ノンコーディングRNA(ncRNA)はタンパク質をコードしないRNAであり,さまざまな生体組織で多様な生理機能に関与することが明らかになりつつある.高等動物の記憶・学習などの神経活動は複雑な遺伝子発現制御を伴うと考えられ,ncRNAもその一端を担うという証拠が報告されつつある.しかし,どのncRNAがどのように記憶・学習や神経の可塑性に関与しているのか,その制御機構については不明な点が多い.本研究では,シンプルな神経機能のモデルとして線虫C.elegansを用いて,記憶・学習に関与するncRNAとその制御因子の解析を行い,高次神経機能における複雑な遺伝子発現制御機構の解明を目指した.これまでに,記憶・学習に関与するncRNAを探索するため,線虫で匂い学習に必要であることが知られているドーパミン経路の変異体からtotal RNAを抽出し,ncRNAの一部であるSmall RNAを分離してSmall RNAシーケンスを行い,野生型と比較した.その結果,野生型に比べて変異体で発現が上昇もしくは下降しているncRNAを複数確認できた.また,これらの候補ncRNAによって制御されるターゲット遺伝子もしくは同じ経路で機能する遺伝子の候補を探索するため,上述と同じ変異体を用いてtotal RNAシーケンスによる発現量解析を行った.その結果,野生型に比べて変異体で発現が上昇もしくは下降している遺伝子を複数確認できた.今年度は,候補となったncRNAのうち,機能が種を超えて保存されていることが期待できるmicro RNAに焦点を絞り,RNAシーケンスの結果を定量PCRで検証した.今後は,これらの候補micro RNAやそのターゲット候補遺伝子がどのように記憶・学習に関与するか,発現部位の同定や変異体を用いた行動アッセイなどを用いて解析する予定である.
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