2017 Fiscal Year Research-status Report
非定常渦列発生の混合強化を応用した高速・高発熱反応の遷移状態解析
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16K21161
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
堀江 孝史 神戸大学, 工学研究科, 助教 (20513550)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 振動流 / バッフル / マイクロリアクター / カオス混合 / 渦流 / 非定常 / 層流混合 / 3Dプリンター |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、高速・高発熱反応であるシュードイオノンからβ-イオノンへの環化をモデル反応として,原料,中間体,生成物濃度から反応機構ネットワークを構築することを,申請書における目標とした。 この反応には濃硫酸を流通させる必要があり,ポリマー製のμOBRではなく耐薬品ガラス製のμOBRが必要となった。そのため,ガラスプレートを微細掘削することによって作製した。ガラス平板上に流路を掘削することから,オリフィス状のバッフルではなく,断面が矩形の流路に対して,流路断面の左右側壁に周期的に流路を狭める構造に変更した。なお,微細ドリルの回転運動によって掘削を行うことから,流路上方からみると,楕円上の溝が連なったような構造として確認できる。流路長さは30 mm,流路幅0.4 mm,深さ0.2 mm,バッフル間隔は0.6 mm,バッフル部分は0.2 mmである。 これまでと同様に,本リアクターに各種振幅と周波数の振動流を与え,そのミクロ混合特性を調べた。ミクロ混合性能評価にはVillermaux-Dashman反応(VD反応)を用いた。構造が異なっても,混合時間は0.02 s程度であり,前年度のμOBRと同等のミクロ混合性能を有していることが明らかとなった。また,レイノルズ数とミクロ混合時間(ミクロ混合時間を流路径の2乗で割った値)のチャートに,本μOBRの性能をプロットすると,多くの既存のマイクロリアクターの性能が,ある直線に並ぶのに対して,本μOBRは逸脱した値を示し,非常に低いReに対して小さい混合時間を与えることが分かった。このことから強制的な非定常渦流に起因するカオス混合が優位に働く可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の計画に含まれる高速・高発熱反応であるシュードイオノンからβ-イオノンへの環化をモデル反応を予定していたが,反応器材質に問題があったため,ガラス製のμOBRを再度製作し,評価する必要があった。反応実験の準備は整っており,30年度には速やかに本実験を遂行する。 また,伝熱および滞留時間分布に関する実験についても,様々な手法を試みたが,いずれも成功しなかった。そのため,混合状態を可視化するための実験を加えて行っている。ローダミンBによる着色実験などを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ガラス製のμOBRを用いてシュードイオノンからβ-イオノンへの環化を実行する。原料,中間体,生成物濃度から反応ネットワークを構築して,反応速度論解析を行う。また,ガラス製のμOBRに変更したことによって,流路内の視認性が格段に向上したため,現有の高速度カメラを用いて,着色および脱色実験などを行い,混合性能を多角的に評価する。
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Causes of Carryover |
当初、マイクロリアクター外部への伝熱状態をサーモグラフィーによって2次元画像として測定する予定であったが、精度良く測定することが困難であることがわかったため、購入装置をさらに次年度に検討しなおすことにした。マイクロスケールであっても非接触で温度測定ができる装置を検討中である。局所的な温度しか測定できないが、多点測定をすることで、2次元的な温度分布を測定する予定である。
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Research Products
(24 results)