2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K21163
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村上 しほり 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 部局研究員 (50746104)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 占領 / 災害 / 戦災 / 復興 / 闇市 / 接収 / GHQ / 生活再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度までに進めた国立国会図書館憲政資料室における日本占領期史料の文献史料調査の成果等から把握した概略を踏まえて、米国立公文書館における米公文書調査を補助を得て行うことにより神戸基地に係る収集史料を補完し、悉皆的な収集と把握を目指した。占領初期の1945~1949年については既に過半に着手していたため、1950年以降の神戸基地月報と地図等図版資料を重点的に調査・収集した。 前年からの成果を踏まえた査読論文として「占領下日本における部隊配備と占領軍家族住宅の様相」を『日本建築学会計画系論文集』に投稿し、平成29年9月に掲載された。このほか本研究課題の成果をもとに「新長田下町芸術祭」の関連講義「戦後神戸の都市史から見る新長田のまち」や、神戸の1945年の戦災と1995年の阪神・淡路大震災の経験と記憶の継承に言及する論考「戦災の記念から阪神・淡路大震災の記念へ」を『建築雑誌』に執筆する等、占領下から現在に至る神戸の都市空間への視座を提示した。また、研究成果の発表に加えて、占領期の神戸に暮らした地域住民へのヒアリング調査を行った成果の社会還元として、デザイン・クリエイティブセンター神戸との協働企画「神戸スタディーズ#6 "KOBE"を語る―GHQと神戸のまち」を実施した。 これらの機会を通して、占領軍による神戸基地の駐留実態や地域住民との関わり、戦前から戦中戦後にかけての他地域との比較を通じた地域的特性の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、予定していた史料調査を適切な指示のもとに業務委託として実施することができた。収集資料の分析、研究成果の発表に加えて、占領期の神戸に暮らした市民へのヒアリング調査を公開型の地域連携プロジェクトとして実施した。その戦争から占領期までの生活再建の経験に関する情報収集から神戸という地域の特性を読みとり、かつその記録を幅広い世代に向けて発信することによって、次年度への展開の足掛かりを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、前年度までに重点的に収集した米公文書、写真、ヒアリング記録等の資料の分析・読解を進めつつ、建築学会論文集における研究成果の公表を行う。これに加えて、地域連携プロジェクトの発展形として、前年度までに取り組んだ占領期関連企画にて交流の生まれた他分野の研究者等との協働や情報発信を目指す。
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Causes of Carryover |
当初旅費とした予算を資料収集の外部委託に充当したが、一部の調査は年度内に完了し得なかったため、平成30年度はより早期に調査依頼を進める。
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Research Products
(5 results)