2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Learning about the Reception and the Succession of Classical Literature
Project/Area Number |
16K21167
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
有馬 義貴 奈良教育大学, 国語教育講座, 准教授 (10549223)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古典教育(古典学習) / 享受・受容 / 継承 / 発展 / 伝統 / 言語文化 / 教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
中学校の現行教科書を中心に、古典の享受・継承に関する学習の機会がどの程度設けられているかを調査した。その結果を踏まえて下記のような提言をおこない、あわせて関連する先行研究やデータベースなども紹介した。 古典の学習においては、作品の内容理解ばかりではなく、その作品が古くから享受され継承されてきたものであるということへの理解もまた重要であると思われる。現行の中学校教科書でも、古典作品について、古くから親しまれてきたもの、長く読み継がれてきたものであるといった旨のことはしばしば述べられている。しかし、そのことを述べるにとどまっているものが少なくなく、実際に例などを挙げながら具体的な享受や継承のあり方にまで言及しているものはあくまで一部に過ぎない、というのが現状である。また、ほとんどの教材において絵巻・写本等の資料が挿絵・写真として掲載されており、それらは享受・継承の歴史の一端をうかがいしるために有用なものと考えられるが、肝心の制作時期・書写年代等が教科書に明記されておらず、いつ頃のものであるのかが不明瞭な形になっていることが少なくない、という状況も認められる。 それでも、現行の中学校教科書に古典の享受・継承に関する学習に資すると思われる資料がみられることは確かで、それらの有効活用が求められるところである。例えば、『竹取物語』について、教科書にみられる挿絵や写本・版本の写真等への着目を契機に、江戸時代における川柳など、後代の文化とも結びついた発展的な享受・継承のありようをおさえ、その上で映画や漫画、現代語訳等をみれば、現代においても引き続きそれがなされていることが理解されてくる。学習指導要領などのいう「言語文化を継承・発展させる態度」の育成のためには、そのように、現代に生きる自分たちも古典の「継承・発展」にかかわりうるのだということを実感できるような学習が必要であると思われる。
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Research Products
(2 results)