2017 Fiscal Year Research-status Report
新規磁気揺らぎ超伝導体の候補探索を目指した第一原理多体モデル計算システムの構築
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16K21175
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
榊原 寛史 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (20734354)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | model-mapped RPA / constrained RPA / 第一原理計算 / モデル計算 / 遮蔽されたクーロン相互作用 / 超伝導現象 / 揺らぎ交換近似 / 銅酸化物高温超伝導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は低エネルギー模型の電子間相互作用パラメータ(Uと表記する)を第一原理的に決定する方法として、model-mapped RPA法(mRPA)を開発した。その原著論文では、1軌道系と呼ばれる理想的な系が実現する物質についての結果を示した。ここで1軌道系とは、1つの軌道自由度で第一原理計算バンド計算から得られるフェルミ面を再現可能な系を指す。本年度はmRPAを一般的な系に適用可能にするための研究を行った。すなわち、多くの軌道自由度がフェルミ面形成に関わる系(多軌道系)に適用できるように、mRPAの理論を拡張した。具体的には、多軌道系に拡張されたファインマンダイアグラムを用いて数式を導出した。 拡張された理論に基づき多軌道系のUを求める計算コードを作成した。ベンチマーク計算として、La2CuO4及びHgBa2CuO4と呼ばれる二種類の銅酸化物高温超伝導体を選び、それぞれにmRPAを適用した。また、既存手法であるconstrained RPA法(cRPA)もそれぞれに適用した。mRPAとcRPAの結果の比較を行った。結論として、mRPAでもcRPAでも凡そ同程度のパラメータがそれぞれの物質において得られる事が分かった。 また別の成果として、揺らぎ交換近似を用いた多体モデル計算についても計算方法を改良した。具体的には、第一原理計算と重複して計算されてしまう静的な相互作用項を取り除くという理論整備を行った。その成果を一言で評するのであれば、第一原理計算からスタートして低エネルギー模型を経由して物性値を計算するシステムの全体的な理論的整合性を向上させた、ということである。また、整備された理論に基いて計算コードの実装を行った。 現状をまとめると、モデル空間の切り取り方の任意性を除いては、ほぼ自動化が達成されている。モデルの切り取り方の任意性については、更なる開発が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初はmRPA法とcRPA法の値の物質間の傾向(大小関係)が同じになるべきであると想定していたが、様々な系の計算結果を比較することによる熟慮の結果、原理的にその必要性が無いことが分かった。その結論を導くための予備的な多くの計算、検討が必要であったために、時間をロスしてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
mRPA法とcRPA法は共に「遮蔽されたクーロン相互作用を第一原理計算とモデル計算で一致させることで二重カウントを防ぐ」というコンセプトを出発点とする。だがコンセプトは同じであるにも関わらず、mRPA及びcRPAで得られるパラメータの物質依存性は必ずしも一致しない。この結果はLa2CuO4及びHgBa2CuO4の比較から得られた。この結果は、両者のUの定義が原理的にも異なっている事を示唆し、さらなる比較検討が必要である。さらに、mRPAの場合はオフサイトクーロン相互作用の効果がオンサイトクーロン相互作用に影響し得るが、この効果についてもより詳細な議論が必要である。 また、mRPA法とは必ずしも直結しないテーマではあるが、ワニエ関数基底生成の自動化についても検討する。
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Causes of Carryover |
高額なコンピュータを購入したため、端数が生じた。繰り越した予算はハードディスクを始めとした記録媒体(消耗品)に充てる。
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Research Products
(2 results)