2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K21191
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
雨宮 嘉照 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 特任助教 (20448260)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオセンサー / 光エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度は、多項目検出バイオセンサーに必要となる微小バルブについての動作確認及び作製工程の改善、さらにバイオセンシング部分となる光リング共振器を格子状に集積化させた回路の光学特性と温度変化やショ糖濃度変化についてのセンシング感度の評価が主となった。 多項目検出のための微小バルブについては、作製工程の簡易性や素子サイズの観点から縦方向に動作する形状の素子に注力して作製を行った。作製素子を用いた動作評価や解析結果から、当初の想定と異なり素子構造や制御方法について、さらなる改善が必要なことが明らかとなった。 光リング共振器の集積化および光学特性評価については、アレイ状の集積化で必要となる交差導波路部分での光導波損失とリング共振器の共振特性の評価を行った。前年度までに光シミュレータを用いて詳細な素子形状の検討を行っており、実際作製した素子と比較してより詳細な評価を行った。光導波損失はシミュレーションより損失が大きくなったが、バイオセンシングには問題ない程度であることが確認でき、光共振特性は各リングを区別するために異なる共振特性になるように設計値を変化させ、実際に各リング共振器の共振特性が異なることを確認した。 集積化したことを用いたバイオセンシングの簡易な応用として、温度変化やショ糖濃度変化に対して複数の範囲のセンシングが行える光回路について動作確認を行った。今後は、バイオ物質を含んだ溶液に対してもバイオセンサーとしての特性を評価していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画として、(1) 素子構造最適化および作製工程改善、(2)バイオセンサー用光素子の最適化と光回路の光学特性評価、(3)微小流路の物理特性および性能評価、(4)抗原抗体反応多項目検出の実証をあげていが、このうちで(1)(2)についてはある程度実施することができているが、(3)については評価はできているが所望の性能に達しておらず、(4)は前段階のショ糖濃度の測定のみで抗原抗体反応については未実施なので、計画の進捗状況はやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
31年度は、前年度までに実施できなかった抗原抗体反応を用いたバイオセンサーの検証と微小流路の改善を行う予定である。より良好な特性が得られる素子の実現のために、これまでの性能評価や光学特性の結果を素子構造及び素子作製工程にフィードバックさせて研究の推進を図る。前年度に引き続き、流路部分の作製条件だけでなく、膜厚、流路サイズなど素子の構造自体も改善させる。光学測定時の熱雑音が光導波路およびリング共振器の上部クラッド層として酸化チタンを用いた素子にて低減することが確認できたので、さらに熱雑音が低減する構造を検討して信号ノイズ比の向上を目指す。 これらの事を遂行して、ある程度良好な特性を示すような段階まで到達したら、実際に複数の抗原抗体反応物質を含んだ溶液を用いて多項目バイオセンサーとしての実証を推進していく。
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Causes of Carryover |
(理由) 29年度までの申請で計上していた物品費で購入予定であった装置が、実験の進捗状況に応じた実験の変更および装置の慎重な選定作業と予算の都合により未購入であるためと、消耗品などのその他の経費については、より経済的に実験を行うことにより当初予定より少額の使用で済んでいたために未使用額が生じたため。 (使用計画) 実験の進捗状況に応じた実験の変更に対して必要となる装置を購入し、その他の残りの金額を学会発表の旅費や研究に必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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