2017 Fiscal Year Research-status Report
陸~浅水帯のドローン空撮動画による色・視差・偏光を併用した自動地形マッピング
Project/Area Number |
16K21194
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
神野 有生 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30583760)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水面屈折 / 補正係数 / シミュレーション / 現地実験 / SfM / MVS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,清澄な水域を対象に,UAV空撮を用いて,陸側から浅水帯に至る高密度な標高分布データを得るための技術開発を目的としている.平成28年度には,計画時には重視していなかった水面屈折補正(水面での光の屈折により水底が浅く推定される効果の補正)の手法が,精度に大きな影響を与えることが明らかになった.従来の水面屈折補正は,通常の解析で得られる見かけの水深に,補正係数として水の屈折率(約1.34)を乗じるものであるが,この補正係数は過小であった. そこで平成29年度は,撮影の高度・重複率を変化させた多条件でのMVS(密な3次元点群を生成するために用いられる解析技術)のシミュレーションと,計7ケースの現地実験に基づいて,最適な補正係数の挙動を検討した. シミュレーションの結果,最適な補正係数の空間平均は,高度・重複率の全組について1.409 - 1.429の範囲にあり,これらへの依存性が小さいことが明らかになった.一方,現地実験7ケースにおける最適な補正係数は,1.157 - 1.722と大きくばらつき,4ケースでは理論上の最小値である1.34を下回った.原因として,SfM(MVSに先立ってカメラパラメータ(撮影の位置・向き、そしてカメラの歪みなど)を推定する技術)におけるカメラパラメータの推定バイアスが挙げられる.一方,7ケースの平均は1.412と,シミュレーション全ケースの平均値1.420とよく一致した. 上記のバイアスの一因は,標定点(対空標識を設置して現地測量する点)の数・配置にあると推察されるため,SfMで高精度を得るための対空標識の数・配置に関する検討も,主に現地実験に基づいて行った.その結果,4点ではSfMの結果が不安定であり,5点以上の配置が必要であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に引き続き,当初計画の回転式偏光フィルタを用いてはいないものの,平成28年度に開発したより実用性・汎用性の高い撮像技術を適宜用いて,同年度の研究で重要性が明らかになった水面屈折補正の手法について,詳細な現地実験・シミュレーションを進めることが出来た.その結果として,汎用性をもつ補正係数の値1.42を得るに至り,さらにその値を適用できるようにSfMのバイアスを抑制するために重要な,標定点の数・配置に関する知見も得ることが出来た.以上より,進捗は概ね順調であると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の結果,シミュレーションで汎用性をもつことが示された補正係数1.42を用いるためには,SfMにおけるカメラパラメータの推定バイアスを抑制することが重要であると考えられる.しかし,現地実験ではカメラパラメータの真値を測定することが困難である.そこで,平成30年度には,SfMのシミュレーション,理論的な考察によって,カメラパラメータのバイアスを評価し,それを抑えるための撮影方法,対空標識の配置などをさらに検討したい.さらに,以上の成果を取りまとめ,引き続き学会・論文発表を進める予定である.
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Research Products
(8 results)