2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒストン修飾エピゲノムを介したほ乳類性決定の分子基盤
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16K21196
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
黒木 俊介 徳島大学, 先端酵素学研究所(次世代), 助教 (50735793)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エピゲノム / ヒストン修飾 / 性決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画1: H3K9 脱メチル化酵素Jmjd1 ファミリーによるSry 発現制御の解明Jmjd1a とJmjd1b の機能相補性を明らかにする目的で、生殖腺特異的なJmjd1a/Jmjd1b 二重KO マウスを作出し、性転換頻度をJmjd1a およびJmjd1b の単独KO マウスと比較した。結果、各々のKOマウスの性転換効率は、Jmjd1a KO = 約10%, Jmjd1b KO = 0%, Jmjd1a KO/Jmjd1b Het = 約90%, Jmjd1a Het/Jmjd1b KO = 0% そして、Jmjd1a/Jmjd1b DKO = 100%だった。以上の結果から、(1)性決定には胎児期生殖腺体細胞における脱メチル化酵素Jmjd1が必要である, (2)性決定にはJmjd1aがドミナントに作用する, (3)性決定にはJmjd1a/Jmjd1bの間の機能重複が存在することが明らかとなった。 計画2: Sry 遺伝子座に特徴的なヒストン修飾と制御因子の探索性決定に関与する新規因子を探索する目的で、セルトリ前駆細胞(E11.5日にSryを発現する細胞)の精製を試みた。すなわち、Sf-LNGFR Tgマウスを用いて転写因子Sf1を強く発現する細胞と弱く発現する細胞に分画した後、これらの間でSry mRNAの発現量を比較した。結果、Sry発現はSf1を強発現細胞のみで見られたことから、Sf1-LNGFR Tgマウスを用いてSf1強発現細胞を分画することで、セルトリ前駆細胞を濃縮精製することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに遺伝子改変マウスを樹立し、Jmjd1a/Jmjd1bの2つが重複的にマウスの性決定に関与するデータを得た。また新規Sry制御因子探索の予備実験として、セルトリ前駆細胞を濃縮精製する方法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きJmjd1a/Jmjd1b DKOマウスの解析を進める。DKOマウスにおいて、性決定期(胎生11.5日)のSry発現とSry遺伝子座のH3K9メチル化の変動を明らかにする。 Sf1-LNGFR Tg 胎生10.5-11.5日胎児から精製したSf1高発現細胞からRNA-seqにより遺伝子発現データを取得する。同様にSf1低発現細胞からデータを取得し、両者の比較からSf1高発現細胞に特異に発現する遺伝子を新規Sry制御因子の候補として取得する。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスの樹立が当初の見込みよりも円滑に進行した。よってマウスの作製に関わる試薬等と飼育費用が抑えられた結果、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を遺伝子改変マウスの作製・飼育関連の費用にあてることで、研究計画全体の更なる円滑な進行をはかる。
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