2016 Fiscal Year Research-status Report
バレット食道腺癌におけるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬の抗腫瘍効果の基礎的研究
Project/Area Number |
16K21203
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
藤原 新太郎 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30612486)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アンギオテンシンII受容体拮抗薬 / テルミサルタン / バレット食道腺癌 / 細胞周期 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
近年アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)が種々の固形癌に対して抗腫瘍作用を持つことが報告されている。今回、我々はテルミサルタンのバレット食道および食道腺癌に対する抗腫瘍作用を培養細胞株、実験モデル動物を用いて検討し、関連するmicroRNA(miRNA)を網羅的に解析した。食道腺癌株として、OE19,OE33,SK-GT4,の3種類を使用した。テルミサルタン投与による細胞増殖の評価を細胞増殖アッセイで、種々の細胞周期関連分子動態はWestern Blottingで検討した。またテルミサルタン投与により、誘導されうるmiRNAsをアレイを用いて網羅的に検討した。In vivoの系ではOE19食道腺癌細胞株をヌードマウスに皮下移植し、テルミサルタンがin vivoにおいても増殖抑制するかを検討し、関連するmiRNAsについてもin vitro同様に検討した。 細胞増殖アッセイにおいて、4種類のARBsのうちテルミサルタンは全ての食道腺癌株の増殖を抑制していた。In vivoの系においても、テルミサルタンにより食道腺癌細胞の増殖を抑制していた。テルミサルタンは非投与群と比較し,CyclinD1,CyclinEの発現が抑制し、食道腺癌細胞株を細胞周期停止に導いていた。さらにテルミサルタン投与によりAMPKα活性化とその下流のmTOR/p70S6K経路の抑制がみられていた。よってテルミサルタンの抗腫瘍作用の新たな機序としてAMPKαの活性化とmTOR/p70S6K経路の抑制が主要な経路として考えられた。またTelmisartan投与により30種類のmiRNAの発現動態が有意に変化し、様々な癌関連のmiRNAの変化も認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究結果は研究論文として英文科学雑誌に受理されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、食道扁平上皮癌が胃癌などその他の癌種に対しても同様な抗腫瘍効果があるかどうかを進めている。また、細胞周期関連蛋白など低下と細胞周期停止につながる更なるメカニズムの検討を進めている。
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