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2017 Fiscal Year Research-status Report

魚類の健康コンディション評価のための血液中ノンコーディングRNA網羅的解析

Research Project

Project/Area Number 16K21208
Research InstitutionEhime University

Principal Investigator

清水 園子 (山口園子)  愛媛大学, 南予水産研究センター, 准教授 (90531369)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
KeywordsノンコーディングRNA / 魚病
Outline of Annual Research Achievements

我が国の魚類養殖において、魚病の発生は慢性化しており、安定的な養殖生産を行う上で大きな障害となっている。本研究課題では、養殖マダイ血液中で発現しているノンコーディングRNA(ncRNA)を網羅的に解析し、魚類の免疫や代謝、ストレス耐性などで機能的な働きをもつncRNAを探索する。さらに、魚病感染時や、水温などの環境変化に伴うマーカーncRNA の発現の変動を解析する。本研究成果により、魚類の血液で発現しているncRNA が持つ、免疫系や生理状態における機能が明らかとなれば、簡便かつ定量的に魚病の早期発見や健康状態の把握が可能となり、被害の大幅軽減に繋がると期待される。持続的かつ安全・安心な水産物の供給体制を構築する上で必要不可欠な研究である。
今年度は、マダイ養殖において大きな問題となっている細菌性疾病のエドワジエラ症を対象として研究を行った。愛媛県宇和島市のマダイ養殖場において、養殖場に導入直前の未感染魚および、養殖過程で体内からエドワジエラ菌遺伝子が検出された感染魚から血液を採取した。採取した血液は、血漿と血球に分離後、それぞれ-80℃で保存した。また、分離しない全血も凍結保存した。その後、血漿または全血からスモールRNAの抽出を試みた。採取したスモールRNAをBioanalyzerで解析した結果、血漿および全血で200塩基以下のスモールRNAが得られ、また、miRNAと推定される20-40塩基以下のRNAのピークが検出された。これらの結果から、魚類の血液中にスモールRNAが存在することが示唆された。
さらに、マダイのエドワジエラ症および、ウイルス感染症のマダイイリドウイルス症感染実験を用い、感染後における免疫関連因子のうちの補体関連因子遺伝子であるC1r、C3、およびMASPの発現量を測定した。その結果、いずれの遺伝子も感染後に有意に発現量が変化していた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度は6月に育児休業から復帰し、その直後に部局内で異動もあったため、研究環境のセットアップから開始した。そのため本研究の開始が遅れ、次世代シーケンサーを用いた解析の結果取得までには至らなかったことから、やや遅れていると評価した。一方で、マダイにおいて、魚病感染時での補体関連因子の発現量変化を明らかにすることができた。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、次世代シーケンサーを用いて、得られたスモールRNAのncRNA の網羅的解析を行う。そこで得られた情報を基に、感染症や健康コンディションのマーカーの候補となるRNA を血液中から測定する方法を開発する。これらについて、リアルタイムPCRなどを用いた、養殖現場で簡便かつ効率的な測定系を開発する。それらを用いて、養殖マダイを用いて魚病の感染実験を行い感染前、潜伏期、発症・斃死までの血液中のncRNA の変動を解析する。これらの結果を基に、潜伏期からどのようなncRNA が変動しているかを明らかとし、感染の早期検出のためのマーカーとする。さらに、マダイを始め、海産養殖魚の多くは、水温などが調節された水槽で飼育されるのではなく、海上の生け簀で行われるため、水温や日照などの季節変動により、その生理状態が大きく変化する。実際、疾病は夏季に発生することが多く、養殖魚の疾病のリスクが季節によって異なる可能性が考えられる。そこで、ncRNA について、その遺伝子発現の季節変動を明らかとする。方法は、養殖生け簀で飼育されている健康なマダイを定期的に採取し、血液中の発現量を定量する。特に、フィールドとする愛媛県愛南町では、イリドウイルス症は夏から秋にかけて発生するのに対し、エドワジエラ症は夏季に多く発生するが、ほぼ1 年中発生が見られることから、これら魚病の発生時期に着目し、代謝・免疫・ストレス応答に関連するncRNA の季節変動を明らかにする。その結果により、養殖環境下における疾病への感染リスクが明らかとなる。

Causes of Carryover

次世代シーケンサーによるスモールRNAの網羅的解析が遅れたため、次年度使用額が生じた。翌年度も継続して、得られたスモールRNAのncRNA の網羅的解析を行う。そこで得られた情報を基に、感染症や健康コンディションのマーカーの候補となるRNAを、血液中からリアルタイムPCRなどを用いて、養殖現場で簡便かつ効率的に利用できる測定系を開発し、養殖マダイを用いて魚病の感染実験を行い感染前、潜伏期、発症・斃死までの血液中のncRNA の変動を解析する。これらの結果を基に、潜伏期からどのようなncRNA が変動しているかを明らかにし、感染の早期検出のためのマーカーにする。さらに、感染や健康状態によって発現が変動するncRNA について、その遺伝子発現の季節変動を明らかにする。方法は、養殖生け簀で飼育されている健康なマダイを定期的に採取し、血液中の発現量を定量する。その他、学会参加費、論文投稿料などに使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Short-term starvation and realimentation helps stave off Edwardsiella tarda infection in red sea bream (Pagrus major)2017

    • Author(s)
      Mohapatra Sipra、Chakraborty Tapas、Reza Mohammad Ali Noman、Shimizu Sonoko、Matsubara Takahiro、Ohta Kohei
    • Journal Title

      Comparative Biochemistry and Physiology Part B: Biochemistry and Molecular Biology

      Volume: 206 Pages: 42~53

    • DOI

      10.1016/j.cbpb.2017.01.009

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] マダイのエドワジエラ症感染早期検出技術の開発2017

    • Author(s)
      松本真依・Sipra Mohapatra・Tapas Chakraborty・川上秀昌・原川翔悟・Reza Mohammad Ali Noman・太田耕平・松原孝博・清水園子
    • Organizer
      日本水産増殖学会第16回大会
  • [Presentation] Characterization of complement system association in stress responsive immunity modulation in red sea bream, Pagrus major2017

    • Author(s)
      Mohammad Ali Noman Reza, Tapas Chakraborty, Sipra Mohapatra, Shogo Harakawa, Hidemasa Kawakami, Takahiro Matsubara, Kohei Ohta, Sonoko Shimizu
    • Organizer
      日本水産増殖学会第16回大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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