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2016 Fiscal Year Research-status Report

耐環境性を有する有機EL素子の創成

Research Project

Project/Area Number 16K21211
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

中野谷 一  九州大学, 工学研究院, 准教授 (90633412)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords有機エレクトロルミネッセンス素子 / 低仕事関数電極 / マグネシウム合金
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、従来「如何に効率的な電子注入を実現するか」が主な研究対象であった有機エレクトロニクス素子の低仕事関数電極に関する研究において、その電子注入特性を維持しつつ、その低仕事関数電極自身に対し「耐腐食性を付加」し、「耐環境性を有する有機EL素子」を実現することを目的として研究を進めている。これまでの検討において、マグネシウムを母材とし、金を10 atom%ドーピングした合金電極を有機EL素子用陰極とすることで、未封止条件においても大気下での非発光点(ダークスポット)の成長を著しく抑制できることが明らかとなった。この原因について明らかにするため、紫外光電子分光法による分析を実施した結果、金からマグネシウムへの電子移動による金属間化合物の形成が、耐腐食性向上に寄与していることを見出した。しかしながら、金を含有する合金電極においては、可視光域での反射率が低く、有機EL素子用の反射電極としては致命的な問題があることも明らかとなった。そこで鋭意検討を進めた結果、マグネシウムを母材、カルシウムをドーパントするマグネシウム-カルシウム合金電極の開発に成功した。この合金電極を陰極とした有機EL素子においては、マグネシウム-金合金電極以上に著しくダークスポットが抑制されるとともに、高い電子注入効率も維持されることを見出した。
また、マグネシウム-カルシウム合金は、大気安定性を示すとともに低仕事関数(3.7eV)を有するため、フォトリソグラフィー法による微細電極構造への適用を検討した。結果、フォトリソグラフィープロセス後も3.7eVの仕事関数を示す微細電極パターン形成が可能であることを見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

H28年度研究計画では、有機/金属接合界面における機械的・化学的結合強度の増加を当初進めていたが、研究を進める中で、マグネシウムを母材、カルシウムをドーパントするマグネシウム-カルシウム合金電極が、著しく有機EL素子用低仕事関数電極として優れた特性を示すことを見出した。特に10 atom%のカルシウムをドープしたマグネシウム合金電極を有機EL素子の陰極とした素子では、未封止状態で大気中・室温条件連続素子駆動試験を行った場合においても、著しくダークスポット形成が抑制され、200時間経過後でも95%以上の発光面積を維持することが可能であることを発見した。また、本合金電極の反射率は可視光域において80%以上の反射率を維持しており、有機EL素子用反射電極として十分に適用できることも分かった。このように新規な合金電極を開発することで、有機EL素子に対して大気安定性の付与が可能であることを見出した。
マグネシウム-カルシウム合金は、大気安定性を示すとともに低仕事関数(3.7eV)を有するため、当初研究計画では計画されていなかったフォトリソグラフィー法による微細電極構造への適用が可能ではないかと考え、研究をさらに進めた。結果、フォトリソグラフィープロセス後も3.7eVの仕事関数を示す微細電極パターン形成が可能であることを見出すとともに、n型有機半導体材料を活性層とすることで、従来は作製が困難であった良好な特性を示すボトムコンタクト型n型有機トランジスタが作製可能であることが分かった。このように本研究は、有機EL素子のみならず、有機トランジスタや有機薄膜太陽電池等の有機エレクトロニクス分野全般の発展に寄与できる可能性が高い。

Strategy for Future Research Activity

低仕事関数電極材料を合金化するという研究戦略は、有機エレクトロニクス素子への大気安定性付与に対して非常に有望な手段であることが分かった。しかしながら、加速試験条件(温度:85度、相対湿度85%)の条件では未だ電極腐食が観測されている。そこで今後は、合金組成の最適化及び3元系合金の開発を進め、数値目標の達成を目指す。

Causes of Carryover

当初計画では、有機/金属接合界面での接着強度評価のための委託分析費用として100万円を計上していたが、新規マグネシウム合金の発見により研究目的の速やかな達成が可能であることが予想されたため、委託分析を実施せず、合金材料の開発に注力した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度においては、合金電極の基礎物性を迅速かつ正確に評価し、研究のさらなる効率的な推進を実現するため、当初の予算計画と合わせて4端子型シート抵抗測定装置等の評価機器を導入予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Magnesium-gold binary alloy for organic light-emitting diodes with high corrosion resistance2016

    • Author(s)
      Hiroya Arai, Hajime Nakanotani, Chihaya Adachi
    • Journal Title

      Journal of Vacuum Science & Technology B

      Volume: 34 Pages: 040607

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1116/1.4952408

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 有機エレクトロルミネッセンス素子の進展2016

    • Author(s)
      中野谷一
    • Organizer
      高機能膜フォーラム
    • Place of Presentation
      東京都文京区弥生2-11-16
    • Year and Date
      2016-10-28 – 2016-10-28
    • Invited

URL: 

Published: 2018-01-16  

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