2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノ相分離構造を利用した有機発光分子の集積と電気化学発光セルへの展開
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16K21218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
込山 英秋 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助手 (40723193)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ブロック共重合体 / ナノ相分離構造 / 有機半導体 / 電気化学発光セル / 有機EL |
Outline of Annual Research Achievements |
ブロック共重合体が形成するナノ相分離構中に有機半導体発光分子を導入する技術を確立し、有機発光デバイスへ応用することを目的として研究を行った。有機発光材料として、熱活性遅延蛍光特性を有する分子を採用した。ブロック共重合体ポリスチレンーポリエチレンオキシド(PS-PEO)のPEOブロックとの相溶性を向上させるために、オリゴエチレングリコールで修飾した発光材料を新たに設計・合成した。PS-PEOおよび発光材料を共溶媒に溶解し、スピンコーティング法によりPS-PEO/発光材料の複合膜を作製した。AFM観察、GISAXSおよびDSC測定により、発光材料がPEOシリンダー中へと選択的に複合化されていることが明らかとなった。また溶媒アニール処理を施すことにより、PEO/発光材料シリンダードメインの配向性を向上させることに成功した。発光材料の導入量を増加させることにより、シリンダー相からラメラ相へ相転移することを確認し、導入量により相構造を制御できることがわかった。一方で、オリゴエチレングリコール未修飾発光材料を用いた場合では、PS-PEOと発光材料のマクロ相分離構造がAFM測定により観察された。有機半導体分子にオリゴエチレングリコールユニットを導入することが複合化技術において重要であることが明らかになった。複合膜のフォトルミネッセンス特性を検討したところ、ナノ相分離構造中においても発光材料の熱活性遅延蛍光特性が維持されていることがわかった。さらに複合膜を用いたOLEDデバイスを作製したところ電界発光が観測でき、デバイスとして駆動することを確認した。また発光材料の探索過程で、熱活性遅延蛍光材料、有機薄膜太陽電池ドナー材料へ展開できる新規有機半導体材料を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していたPS-PEOと相溶性の良い発光材料の合成、およびPS-PEOとの複合化を予定通り達成できた。一方で、当初計画していた電気化学発光セル作製には至らなかったものの、OLEDデバイスに展開することができた。また、有機ELや有機薄膜太陽電池へ利用できる有機半導体材料を開発できたことは当初の計画にはなかった成果の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、有機半導体発光材料/ブロック共重合体複合膜を活性層とする電気化学発光セルへの展開を試みるとともに、ナノ空間に閉じ込められた発光材料特有の発光特性・デバイス特性などを探索する。
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Research Products
(7 results)