2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞極性制御タンパク質Morg1の胎生期発達における役割の解明
Project/Area Number |
16K21221
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
早瀬 純也 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(PD) (40621686)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞極性 / Morg1 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞は、体内環境と体外環境の境界を形成し、異物侵入の阻止、栄養物の吸収、及び老廃物の排泄など、多細胞生物の個体維持に必須な役割を果たす。上皮細胞がこのような機能を発揮するためには、体外環境に接するapical膜と体内環境に接するbasolateral膜という性質の異なる膜ドメインを適切に形成し、維持することが必要不可欠である。この膜ドメインの非対称性、すなわち細胞極性の形成に必要なタンパク質として、申請者はこれまでにMorg1 (mitogen-activated protein kinase organizer 1)を同定し、その作用機構を上皮細胞の2次元及び3次元培養系を用いて明らかにしてきた。そこで申請者らはMorg1欠損マウスを作出したところ、そのホモ接合体が胎生期に死に至ることを見出した。 本年度、申請者はMorg1欠損マウスがどの胎齢で死に至るのかを明らかにするために、胎齢7日以降の胎仔の観察を行った。その結果、Morg1欠損マウス胎仔は胎齢8日までの形態に大きな異常は見られなかったものの、胎齢9日以降は胎仔の発育が停止し、その後致死となった。Morg1欠損マウスでは胎齢8日以降の栄養供給もしくは細胞増殖に異常が生じていることから、Morg1は血球・血管形成もしくは細胞増殖に必要である可能性が考えられた。次年度は血球・血管形成および細胞増殖におけるMorg1の役割を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度明らかにする予定であった、Morg1欠損マウスがどの胎齢で致死となるのかを明らかにすることができた。Morg1欠損マウスの致死となる胎齢を明らかにできたことに加え、胎仔組織切片の解析により致死原因を絞り込むことができており、次年度はそれらの致死原因の可能性を一つ一つ検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
胎齢9日以降の発育不良の原因として、細胞増殖遅延や血球もしくは血管形成不良などが考えられる。Morg1欠損マウスの致死原因としてこれらの可能性を考え、Morg1が細胞増殖に必要であるかどうか、また血球系の分化および血管形成に必要であるかどうかを明らかにしていく。
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Research Products
(2 results)