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2018 Fiscal Year Research-status Report

裁判による教育中断期間における人間の成長に関する研究

Research Project

Project/Area Number 16K21228
Research InstitutionSaga University

Principal Investigator

佐藤 晋平  佐賀大学, 教育学部, 講師 (00758807)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords教育裁判 / 法的主体 / 当事者 / 生徒
Outline of Annual Research Achievements

平成30年度は、本研究遂行に必要な調査対象との接触と調査を遂行した。平成29年度までに接触していた有力な調査対象候補者が複数いたが、これらの調査対象者は本研究のまさに関心でもある裁判の進行状況からしてインタビュー調査を現時点で実施することに困難が出てきたため調査を見合わせる必要性が生じたということがあった。本研究においては、調査対象者は自身の経験を振り返る苦しさから調査に応じてくれないことが多い。従って、新しい調査対象を開拓する必要があり、新たな対象と接触を重ねた。同時に、裁判係争中であったり、あまりに過酷なケースにおいてはインタビューの拒否があるので、調査・研究の枠組みを微修正する必要があった。平成30年度はそうした試みも行った。
その後、2件の調査を実施することができた。1件は高校生時代に学校でいじめを受けたケース、もう1件は中学生時代にいじめを受けたケースである。どちらのケースにおいても訴訟に至っているが、訴訟は当初、当人にとって最良の選択肢ではなかったが、その後裁判を経験するなかで激しい苦しさと一定の意義の両方を感じていた。
この両調査結果においては、これまで教育学研究が見落としてきた被教育者が裁判主体となることの苦悩と意義をよく見て取ることができる。ただ、調査に了承が得られた時期との関係もあり平成30年度には研究業績として形にすることができなかった。それでも極めて重要な調査として本研究の骨格を形成するものであり、最終年度である平成31年度には複数の研究論文に構成することができると考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究は、遂行がやや遅れていると言える。理由としては、調査対象として予定していた裁判当事者の了解を得にくいということが最大のものである。
この理由は、さらにいくつかのケースに分かれる。まず一つ目として、すでに裁判は終わっているが、紛争・裁判やその元になった経験があまりに過酷で、当事者がこれを振り返りたくないということがある。こうしたケースは、接触を試みた対象の中で複数あった。
二つ目に、一つ目とは捉え方によっては逆のこととなるが、調査対象候補者が裁判を争ったことをうまく意味づけられていないために調査を拒否されるということがあった。未成年であった調査対象候補者にとって、訴訟を実際に遂行したのは保護者であることがほとんどである。そのなかで、本人はいまだに裁判を闘ったという意識が強くなく(あるいはそうした認識を持ちたくなく)、訴訟当事者として話を聞かれることを忌避するという場合がある。保護者へのインタビューで間接的に状況はわかるものの、その先の研究が遂行できず断念したというケースがあった。
三つ目として、現在まさに裁判を争っているケースにおいて、振り返りによるインタビューの依頼が訴訟の遂行に影響を与えてしまう恐れがあるということが懸念され、それにより調査を見合わせているということがある。こうしたケースにおいては、訴訟を遂行中の調査対象候補者は毎日精神状況が変化しているようで、自分に不利益をもたらした者へ強い報復を望む態度を示したかと思えば、次に接触したときには激しい自己嫌悪・厭世観に襲われているなどのことがある。そのため、本研究開始直後から接触を試みた対象であっても2、3年の間調査を待つばかりということもある。
以上から、本研究は調査の遂行がやや遅れる結果となっている。

Strategy for Future Research Activity

今後については、現時点でインタビューを完了できた調査について論文を執筆し、また新たな調査対象を開拓、また現在調査可能状況になることを待っている調査対象候補者への調査を実施し研究を遂行する予定である。
これまでにインタビューを完了することができた調査については、複数の論文を執筆することができるであろうと考えている。また新たな調査対象として、2、3件の対象を開拓できる見込みがある。これらの交渉がうまくいけば、さらに研究を遂行することができるであろう。また研究の【現在までの進捗状況】の理由に記載している調査不可能な状態にある対象候補者について、事態が好転すれば調査・研究を遂行することができる。
平成31年度は、本研究の最終年度にあたる。従って、場合によっては断片的な研究成果も発表していくことにしたい。研究の【現在までの進捗状況】に記載したものとして、学校生活で不利益を被った当事者・本人(生徒であった者)に接触できていないが保護者には接触済みのケースというものがあるが、こうしたケースにおいて当事者・本人への接触が最終的にできなければ、保護者のインタビューまでを発表するということも検討している。

Causes of Carryover

平成30年度においては、次年度使用額が発生した。この予算については、さらに調査を充実させるための旅費として用いたいと考えている。
本研究は、インタビュー調査の対象候補者が学術研究者に対して強い警戒心を持っていることが少なくない。そのため、関係構築のためにさまざまな集会・会合へ足を運ぶことは極めて重要である。上記理由から旅費はとても貴重であるため、そのために用いたい。

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Published: 2019-12-27  

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