2017 Fiscal Year Research-status Report
オークション理論の構造推定と検定について:政府調達を中心に
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16K21231
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松木 佑介 長崎大学, 経済学部, 准教授 (10733660)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オークション理論 / 構造推定 / 境界効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、オークション理論モデルの構造推定に必要な、境界効果へ対処するための統計的手法のレビューが中心となった。 オークション理論の実証研究は近年急速に発展し、特にノンパラメトリックモデルの識別・推定が可能なことが示され(Guerre, Perrigne and Vuong, 2000)、ノンパラメトリックモデルの構造推定が基本的アプローチとなった。 このモデルの構造推定には、各オークションの条件変数や入札額、さらに推定された入札者の私的情報の確率密度関数と累積分布関数の推定が必要になる。確率密度関数の推定にはカーネル密度推定法を用いるのが標準的であるが、データの境界付近で推定が不正確になる境界効果への対処が課題となる。オークションの実証研究に関する既存文献では、境界付近のサンプルを外すことで対処するが、多くのサンプルが抜け落ちてしまう。一方カーネル推定の文献では、境界効果に対処するための多くの研究が存在するため、集中的に調査を行った。対処法の一種である境界修正カーネルをオークションモデルの推定に応用した研究も見られるが、カーネルが極めて複雑で理解が難しく、拡張も困難である。そこで代替手法として、より基本的な局所線形推定量や、非対称カーネルの一種であるガンマカーネルやベータカーネルに注目した。局所線形推定量はノンパラメトリック回帰では基本的な手法であり、文献も豊富で性質も良く知られている。一方非対称カーネルは比較的最近提案された手法で、現在文献が蓄積されつつある状況である。これら手法の性質や課題を調べ、使用を検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カーネル密度推定法における境界効果に対処する統計的手法についての調査と選定を進め、おおよそ目途が付いたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ノンパラメトリック推定手法に関する調査・研究を進める。特に境界効果に対処する手法の確定と、統計的性質の調査を進める。さらにバンド幅の決定方法についても検討を行う。
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