2017 Fiscal Year Annual Research Report
Production of metal ion separation membrane using graphene oxide
Project/Area Number |
16K21237
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
畠山 一翔 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (30773965)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酸化グラフェン / イオン分離膜 / 層間制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度で、酸化グラフェン(GO)膜の層間隔をコントロールすることで、銅イオンの透過速度を制御することに成功した。2017年度は、1)金属イオン種を拡張し同様の透過速度試験、2)2種類の金属イオン混合溶液の分離試験、を行った。1)の結果として、銅イオン、鉛イオン、鉄(Ⅲ)イオンのGO膜を通した透過速度は、鉛イオン>銅イオン>鉄(Ⅲ)イオンの順に大きいことがわかった。この透過速度の大小は、金属イオンの水和半径である鉄(Ⅲ)イオン(0.475 nm)>銅イオン(0.419 nm)>鉛イオン(0.401 nm)の順序と反対の関係にあり、イオン半径も透過速度を決める重要なファクターであることが予測された。2)の結果として、銅イオンと鉛イオンの2種混合溶液の透過試験では、鉛イオンは1)の試験と同程度の速度でGO膜を透過するが、銅イオンの透過速度は1)の試験と比べて大幅に小さく140℃で熱還元し層間隔を狭めたGO膜を通した透過速度と同程度であった。この銅イオンの透過速度は、鉛イオンと比較して1桁以上も遅く、この差を利用することで混合溶液から2つのイオン種をある程度分離することが可能である。また、この分離性能について、層間隔の観点から検討を行った。金属イオンを含有する溶液にGO膜を浸すと、水和半径に応じて層間隔が広がる。つまり、1種の金属イオン溶液に浸した場合層間隔は鉄(Ⅲ)イオン>銅イオン>鉛イオンの順に大きくなる。ここで、銅イオンと鉛イオンの混合溶液に浸したGO膜の層間隔を測定したところ、鉛イオンに浸した時と同じ層間隔になっており、140℃で熱還元したGO膜を銅イオン溶液に浸したものとほぼ一致した。以上の結果から、2種混合溶液中でのイオンの透過挙動も層間隔により説明することができ、分離性能も層間隔を制御することで自在に操作できると期待される。
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Research Products
(10 results)