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2016 Fiscal Year Research-status Report

自主防災組織の形成にみる選択とその論理‐住民の日常的営為に着目して

Research Project

Project/Area Number 16K21253
Research InstitutionIwate Prefectural University

Principal Investigator

庄司 知恵子  岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (30549986)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords自主防災組織 / 防災士 / 組織率
Outline of Annual Research Achievements

平成28年度は、秋田県仙北市、岩手県二戸市の防災担当職員に聞き取り調査を行い、自主防災組織の組織化の現状と課題について考察した。双方、過去の災害経験が防災対策を進めるきかっけとなっている。双方、事前の防災体制の整備の必要性を述べ、その核として自主防が位置づけられる。そして、共助の基盤だけではなく、公助の限界の先に、自主防の役割を位置づけている。この点は、「行政の末端組織化」として問題視する見方もある。しかしながら、現実を考えれば、公助・共助・自助の組み合わせのもとに相互の補完について検討する必要がある。
組織率について、双方「伸び悩み」を指摘する。組織率は、地域防災の状況を計る一つの指標ではあるが、それは「組織化」の状況であり、「実効性」を捉える指標にはなり得ない。組織率の高い二戸市は「組織率と実態との乖離」を感じ、実効性の課題を指摘する。組織率の低い仙北市は、組織を作ったところで実効性を伴わない組織を作る可能性があること、またそもそも助け合いが成立している地域に、組織率を伸ばすためだけに組織を作ることについて疑問を感じている。「伸び悩み」の解消には、「実効性」担保の必要性と自主防の役割について、住民・行政ともに共有する必要がある。
二戸市では、「防災士」育成に力をいれている。双方、組織化および活動の展開において、市役所や消防署OBをキーパーソンと考えているが、人材も限られるため、「防災士」を地域防災のキーパーソンとして育成することは、有益な取り組みといえる。しかし、二戸市防災士連絡協議会会長に聞いた話では、「資格をとったからといって、その人がすぐさま地域のメッセンジャーになれるかというとそうではない」というように、即戦力としての役割を期待するのは難しい。防災士を、地域防災の中にどのように位置づけていくかが、今後の課題となる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

岩手県二戸市および秋田県仙北市については、行政担当者への聞き取りが終了し、対象となる地域の住民との関係性も構築できている。石巻市については、行政担当者への聞き取り予定日に、台風が来たため、調査を中止せざるを得ず、聞き取りが終了していない。しかし、住民への調査は進めており、対象となる地域の選定もほぼ見通しが立っている。やや遅れている状況ではあるが、大きな遅れはなく、今後の研究遂行に支障はないと考える。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度は、行政の防災担当者に話を聞くことによって、組織化を促進する側から捉えた自主防の現状と課題についてまとめた。研究として求められる次なる作業は、「なぜ、自主防をつくらないのか」といった住民側の論理を明らかにすることであろう。行政の期待に対し、住民側の作らない論理にみられる「ずれ」を明らかにし、双方の視点に立った支援のあり方を検討することが求められる。そして、組織率の多寡だけではなく、組織化された後の「実効性」という視点から自主防のあり方を検討することが研究の視点にも、現場の視点にも求められるだろう。そのためには、実効性を担保できている自主防の事例だけをとりあげるのではなく、担保できていない組織の事例もとりあげることにより、自主防のバリエーションを描き出すことが必要である。その先に「上から」ではなく、「下から」も支えられた「防災コミュニティ」が描き出されるといえよう。
以上より、平成29年度は住民側の調査を行う。秋田県仙北市では「実効性を伴わないから自主防災組織は作らない」といっている供養物町内会、岩手県二戸市では「自主防災組織がなくても防災体制は整っている」といっている門崎地区、石巻市北上町では「集団移転後の防災体制の整備」について月浜集落を対象として、自治会長およびキーパーソンを中心とした調査を進めていく予定である。

Causes of Carryover

石巻市防災担当者への調査に行った際、台風のため聞き取り調査がキャンセルとなった。そのため、予定を1日早く繰り上げて帰省した。その分の旅費が残っている形となっている。

Expenditure Plan for Carryover Budget

石巻市防災担当者への調査を次年度に繰り越したことから、旅費として使用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 自主防災組織の組織化にみる現状と課題 ―秋田県仙北市および岩手県二戸市の行政担当者への調査からー2017

    • Author(s)
      庄司知恵子
    • Journal Title

      岩手県立大学社会福祉学部紀要

      Volume: 19 Pages: 73-82

URL: 

Published: 2018-01-16  

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