2020 Fiscal Year Research-status Report
自主防災組織の形成にみる選択とその論理‐住民の日常的営為に着目して
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16K21253
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
庄司 知恵子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (30549986)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 防災 / コミュニティーナース / 自主防災組織 / 社会福祉協議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、フィールド調査を主としているが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、令和2年度は、十分な調査を行うことができなかった。このような中、2度の現地調査と1度の遠隔調査を実施している。 12月17日には、秋田県仙北市山谷集落における山谷集落自主防災組織の現地視察および聞き取り調査を行った。この集落は8世帯という小さな集落ではあるが、組織立てがスムーズに行われた集落である。もともとの生活を契機に結んだ関係性をもとに、組織立てが行われている。組織を集落生活の一部として位置づけている様子が確認されることから、組織化における生活連関を見ることの重要性が指摘できる。これまで仙北市では、行政調査と先達町内会の調査を行っている。他にも立ち上げを検討している組織の情報を聞くことができ、山谷集落の事例との比較検討を通して、一つの自治体における自主防災組織のバリエーションの存在が検討できると考える。 2月2日には、石巻市北上町復興応援隊において、コミュニティ復興を手掛けているコミュニティーナースの平野亜紀さんに、コミュニティ形成と復興、防災体制について遠隔にて話を聞いた。行政ではない民間組織が受け入れ先となりコミュニティーナース事業が進められているが、復興と防災との関連を考えるうえで、公共的支援の間に位置づけられる活動の重要性が見て取れた。 コミュニティナースの平野さんの調査を受け、3月8日は、石巻社会福祉協議会に聞き取り調査を行った。社協や行政ではなく、民間の組織として平野さんが動くことの意味を捉えることが可能となり。復興における防災システムの構築に際しての資源配置の在り方について検討することの重要性が見えてきた。 防災と復興はセットで考えられる必要があると思えるが、実際のところはそれぞれ別の軸で展開されており、それらをつなぐ活動の存在を検討していくことが重要ではないかと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度で終了予定であった本研究課題ではあるが、新型コロナウィルスの影響を受け、十分な調査を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、サバティカル研修の機会が得られ、広島県に滞在することとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の懸念と、移動自粛が求められることから、これまでのフィールドの調査は難しいかもしれない。とはいえ、可能な限り遠隔での調査を行い、また、広島では西日本豪雨の被害などもあったことから、どのように防災体制が整えられているのか、可能な範囲で調査をする予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、調査を自粛せざるを得ず、調査に行くことができなかったため。
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