2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Logic of Whether or Not to Form of Self-support Disaster Reduction Associations: Focusing on the Daily Activities of Residents
Project/Area Number |
16K21253
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
庄司 知恵子 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (30549986)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自主防災組織 / 地域運営組織 / 防災コミュニティ / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東日本大震災以降の自主防災組織(以下、「自主防」)を核とした「防災コミュニティ」の形成について検討した。研究遂行において、自主防の基盤として期待されている町内会・自治会(以下、「自治会」)での自主防を巡る選択(自主防を作る/作らない/再編する/再編しない)に着目し、住民側・行政側の調査を通して、以下3点を明らかにした。 第一に、自主防を巡る選択の論理を、住民の日常的営為、具体的には地域社会における既存の組織や活動、災害文化、災害経験との関連から明らかにした。具体的には、豪雨災害を経験してもなお、「自主防を作らない」という選択をした秋田県仙北市の事例からみてきた。 第二に、彼らの選択が今日、国が求めている「防災コミュニティ」の形成においてどう位置づけられるのかを制度・政策的側面から分析した。自主防を作るという事は、現在、地域の再編において、その作業とセットになっている様子が見られた。具体的には、広島県東広島市の「地域運営組織」の形成と自主防の形成で確認できた。しかし、災害が起き、自主防が動いた際の事故についは補償がなく、これは東日本大震災でも課題として挙げられてきたが、未だに整備されていない。このような中、「責任」の所在が争点となる。 第三に、調査をもとに「防災コミュニティ」のバリエーションを提示し、災害が生じた際に実質的かつ効果的に活動を展開できる自主防のあり方と必要な施策について提示した。「自主防を作る」という事だけを重視するのであれば、地域再編の流れと一緒に取り組むことが良い。行政側にとっても、カバー率100%を達成することが次のステップにつながる。しかしその一方で、「実効性」を兼ねた防災組織の形成においては、住民側の論理を捉える必要がある。形だけ作ることを否定はしないが、それとともに実効性が伴う形での組織化の支援が行政には求められる。
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