2016 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期のアフォーダンスの可視化による事故防止・発達支援システムの開発
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16K21263
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西崎 実穂 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (90610957)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アフォーダンス / 可視化 / 拡張現実 / 発達 / 事故防止 / 日常環境 / 乳幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,「家」環境における生後12ヶ月間の乳幼児の日常行為に現れるアフォーダンスを可視化し,家の中で生じる事故防止と発達促進に役立たせることを目的とする。本年度(H28)は(1)新規の縦断的観察と分析,(2)拡張現実(AR)技術を用いたiOSアプリケーション開発と検証を進めた。 (1)縦断的観察と分析 日本とアメリカの2カ国で新たな乳幼児の協力を得た。乳幼児の自宅にて自発的な日常行為と対象物を撮影し,映像を記録した。本年度は日本1名,アメリカ2名の観察を開始し,来年度も引き続き新規協力者を予定している。これらのデータと本研究の土台となる前回の科研費採択課題で収集した日本12名,ポルトガル7名の乳幼児のデータが合わさることで,個人の縦断的過程だけでなく乳幼児間の比較も徐々に可能となってきた。国,地域,家族構成,間取り,日用品,家具等,乳幼児の周囲の「家」環境の共通点と相違点が明らかになりつつある。行為分析については,ビデオコーディングソフトDatavyuを用い,個々の分析目標の明確化とコーディングの精度の向上を目指し,事故や発達との関連性を検討した。 (2)アプリケーション開発と検証 (1)で収集した動画から観察頻度の高い10種の身の回りにあるもの(日用品や家具等)と関わる乳幼児の行為場面を抽出した。該当する動画をAR動画用に線画のアニメーションへ加工する作業を進めた。また,データ増加に伴い,より使いやすく且つ知見が得られるアプリケーションを目指す目的から,構造とUI/UXの変更を試案,新機能としては対象物へのアラート機能等を試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断的観察については,来年度も引き続き協力者を予定している。行為分析についても,新たに映像分析用のソフトを導入したことでコーディングの信頼性が高まった。また,分析過程でRubyを用いたことからプラグラミングの幅が広がり,最終年度の総合的なアプリケーション開発に活かしたいと考えている。 iOSアプリケーション(iPhone,iPad)の開発については,本年度はObjective-CからSwiftへの移行を試行し動作確認が取れたため,来年度より全面的に移行させることを予定している。しかし画像処理を考慮した際,Swift開発環境は未だ十分であるとは言えない。また,データの増加に伴う新たな構造が必要であると考えられることから,来年度に向けた課題を見つけることができた。 アニメーションの制作方法及び処理については,観察同様に時間がかかる工程であることから,効果が高くかつ効率の良い手法を求め試行した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(H29)は,(1)縦断的観察の新規追加により,3カ国(日本,ポルトガル,アメリカ)の映像データ収集を完了する。(2)アプリケーション開発と検証においては,乳幼児の行為によって具現化される「家」環境におけるアフォーダンスを対象物・月齢ごとにアプリケーションに組み込む。同時に,データの追加に伴うアプリケーション構成の変更を行う。より使いやすく,家環境における乳幼児にとっての発達や事故防止に結びつく事例と参考情報を提供できるアプリケーションを目指す。最後に,(1)と(2)を最終年度の(3)webシステム開発に集約できるよう,データの整理,機能の試作を随時進める。
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Causes of Carryover |
11月に購入した3件の物品費(iOSアプリケーション開発用のiPadと撮影用の三脚等)の会計が未処理であったため,次年度使用額が生じた。報告者は本年度(H28)後期,ニューヨーク大学に客員研究員として滞在していたため処理状況が閲覧できず,年度内に担当者へ問い合わせを数回行ったが確認できなかった。4月に会計システムへ反映された数字に残額があり問い合わせたところ,未処理とわかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(H29)は国際学会にて2件発表を予定しているが,学会参加費と旅費に不足が生じる。そこで,旅費に使用することを計画している。
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