2016 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲的脳機能計測法を用いた早期産児の発達リスクの解明
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16K21266
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渕野 裕 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (30566401)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳 / 発達 / 早期産 / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
早期産児は,満期産児に比べ,学齢期における言語,行動,情動,社会性発達の困難を抱えるリスクが高いことが報告されている。このリスクに対する要因として,早期産児に頻発する,脳室周囲白質軟化症,脳室内出血,高ビリルビン血症,呼吸窮迫症候群などが影響することが示唆されているが,これらの出生時のリスクがない場合でも後の発達リスクが高いことが報告されており詳細は明らかになっていない。本研究は,早期産児の感覚刺激への異常な反応(感覚過敏・感覚鈍麻)と後の発達リスクとの関連性に着目し,早期産児の脳機能発達と感覚異常の発達リスクの関連性を明らかにすることを目的とした。現在のところ,修正満期から生後3ヶ月時点までを対象とし計53名(内22名は早期産児)から,近赤外分光法(near infrared spectroscopy, NIRS)を用いた脳活動及び行動指標の取得を行った。その結果,約10分間の安静状態(自然睡眠下)での脳活動を評価したところ,周波数解析及び酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの関係から,早期産児と満期産児とで脳領域毎に異なる発達変化を示すことが分かった。この結果は,出生後における脳循環・代謝の発達だけを反映しているのではなく,脳機能の発達も反映していると考えている。上記の結果について,2016年度は,4つの国内学会(第39回日本神経科学大会,発達神経科学学会第5回大会,第61回日本新生児成育医学会・学術集会(2報))においてポスターによる発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度における満期産児群の脳機能データ収集は完了した。この研究成果について,国内学会において発表済みである。現在,早期産児群の脳機能データ及び両群の養育者によるアンケート,発達検査による行動指標についても順調に調査している。現在,国際誌に投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
早期産児群及び満期産児群の脳機能データの詳細な解析を行い,論文化を進める。また,両群の脳機能データ及び行動指標について順次追跡調査を行う。さらに,周産期におけるリスク児のデータの取得及び追跡調査も同時に進めることで,周産期における脳機能データ及び行動指標から後の発達リスクの関係性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
学会の開催が首都圏内と多かったため,旅費が当初の申請とは異なった。 研究参加者募集方法を変更したため,ポスター作成等の広告費を削減できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析用パソコン及び周辺機器を購入予定。
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