2016 Fiscal Year Research-status Report
揮発性成分によるうま味増強効果を応用した減塩とうま味関連脳基盤に関する研究
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16K21273
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
徳永 美希 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (90610238)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | うま味 / 揮発性成分 / 背外側前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、塩との組み合わせでうま味の増強効果を起こす物質が、だしの揮発性の成分であることを明らかにしてきた。本研究では、だしの揮発性成分と食塩とのうま味の増強効果に関わる神経基盤を明らかにすることと、うま味認知に関わる物質を特定することを目的としている。平成28年度は、だし中の成分と食塩濃度を調整したものを試料とし、官能評価と脳の賦活化部位測定を組み合わせて行うことで、だしの揮発性成分と食塩とのうま味の増強効果に関わる脳の部位を明らかにすることを目的とした。だし中の成分として、揮発性成分とイノシン酸、蒸留水の3つを設定した。官能評価では、食塩濃度を4段階に調整した試料を用いて実施し、うま味や匂いの感じ方などについてLabeled Magnitude Scaleを用いて評価した。脳の賦活化部位の測定には、塩分濃度を2段階に調整した試料を用いて行った。脳全体を対象とした賦活化部位については、機能的磁気共鳴画像(fMRI)法を用いて測定をおこなった。得られたfMRI画像は、MATLAB上で作動するSPMソフトウェアを用いて解析した。 うま味の強度は、二元分散分析の結果、だし中の成分と塩分濃度との間に交互作用が認められ、食塩6 g/Lを添加しただし揮発性成分水溶液が最大となった。脳の賦活化部位測定の結果、食塩6 g/Lを添加しただし揮発性成分水溶液では、背外側前頭前野と眼窩前頭皮質、前頭極が活性を示したが、食塩0 g/Lのだし揮発性成分水溶液では活性しなかったため、これらの領域がだしの揮発性成分と食塩とのうま味の増強効果に関わることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定では、官能評価と脳賦活化部位の測定を平成28年度に行うことになっているが、fNIRSによる測定が遅れているため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は、だしの揮発性成分と塩とのうま味の増強効果に関わる神経基盤を明らかにすること、うま味認知に関わる物質を特定することを目的としている。今後は、脳の賦活化部位について、食塩濃度6 g/Lのだし揮発性成分水溶液に特徴的な部位をさらに明らかにしたいと考えている。また、ベイジアンネットワーク分析により脳内の伝達経路を解析したいと考えている。
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Causes of Carryover |
前頭前野の賦活測定に使用する予定であったが、測定が遅れているため繰越金が生じた。脳の賦活化部位測定のために、MRIを稼働させるためのオペレーターに対する謝金を計上していたが、オペレーターに対する謝金が必要なくなったため、繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前頭前野の賦活に着目しているため、近赤外分光法による測定のために用いる予定である。
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