2016 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域における生活継続支援モデルの構想-地域特性による類型化と支援のあり方
Project/Area Number |
16K21274
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
高木 寛之 山梨県立大学, 人間福祉学部, 講師 (60445187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域特性 / 地域アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度研究計画に基づき、対象地域の国勢調査結果、高齢者保健福祉計画、町史等の歴史文書を分析対象として、町全体、地区ごとの過去から現在に至る人口の変動、開発・発展・合併の歴史、主産業の変化といった点から地域アセスメントを行い、地域特性を明らかにした。また、地域包括支援センター、教育委員会、社会福祉協議会、一部の地域住民へのインタビューを行い、地域課題の把握と現在行われている住民活動の傾向を明らかにした。その結果確認されたことは、以下の通りである。 行政機関は、平成の大合併後の現在の一つの自治体を単位として地域課題を把握し、対応している。地域住民は、平成の大合併前の旧町村、一部はそれ以前の旧町村を単位として地域課題を把握し、対応している。そのため、行政機関の設定する圏域と住民の生活感覚での圏域には一部に違いがある。 地域全体では人口が減少し、生産年齢人口の流出とそれに伴う年少人口の減少、高齢化率の上昇傾向にあるが、地区単位では人口の変化のスピードに差がある。介護認定率においても、地区単位で差がある。そのため、地区単位での人口の変化と介護認定率を把握し、地区に合わせた支援を展開することが必要となる。 一次産業、二次産業、三次産業の違いによって、生活時間、家族構成、親族関係、歴史的な人口の流入出、住民の支え合い活動への理解と実践状況に差がある。産業の変遷は、その地域を形成してきた歴史を含み、地域特性を把握するうえで重要な視点となる。 これらの結果から、旧町村よりさらに細分化した地域範囲を設定し、地域特性に基づく地域モデルの素案を作成した。そして、次年度個別支援、地域支援、政策立案にかかわる組織へのヒアリングの基礎資料を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度予定していた研究計画に基づき、統計資料、行政資料、町史の分析を行った。それらの結果を用いて、地域包括支援センター、教育委員会、社会福祉協議会、一部の地域住民にも話を伺い、地域特性に関する基礎資料を作成することができた。また、次年度に向けてのヒアリングの調整を行い、対象者の選定や時期、内容について確認を行うことができた。 以上の理由より、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度も当初研究計画に基づき、地域モデルとそれに合わせた支援モデルの構築を行う予定である。平成28年度の調整結果に基づき、個別支援と地域支援を行う専門機関へのヒアリングを実施し、地域をどのような範囲で、どのような視点からとらえているのか、実際に見えている地域像と支援の実際について明らかにしていく。調査対象として、対象地域内の社会福祉法人を予定している。ただし、組織レベルの対応をヒアリング回答者がどの程度理解しているのかは差があると思われる。そのため、複数回のヒアリングを実施することで、回答者及び組織の見解を伺う予定である。 また、対象地域においては平成29年4月に地域福祉活動計画が策定された。この計画は、地域全体を対象とした計画だけでなく、小地域ごとに地域住民が計画立案している点に特徴がある。そこで、この計画策定において、住民座談会に参加し小地域の計画を立案し、現在実践を行っている地域住民を対象に、地域課題把握の視点、実践内容とその課題についてのヒアリングを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予算額通り経費を支出していたが、時期に応じて旅費に差があり、若干の繰り越しが発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度旅費として使用する。
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