2017 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域における生活継続支援モデルの構想-地域特性による類型化と支援のあり方
Project/Area Number |
16K21274
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
高木 寛之 山梨県立大学, 人間福祉学部, 講師 (60445187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域特性 / 地域アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度研究計画に基づき、対象地域にヒアリング調査を実施した。ヒアリング調査では、昨年度研究結果に基づき再設定した地区ごとに地域における生活課題と社会資源の現状と課題、修正、開発、連携が求められる社会資源について話を伺った。社会資源については、身近な地域での見守り支援活動などの人的資源、サロンや活動拠点の有無と機能、拠点での事業内容について明らかにした。地域住民には、地域での見守り支援の現状とネットワークの構築を中心に聞き取りを行った。一方、社会福祉法人職員には、地域生活課題に対応する学校教育内での福祉教育の内容と法人の公益的な取り組みについて聞き取りを行った。その結果確認されたことは、以下の通りのである。 見守り支援においては、一部住民の自主的な活動、民生委員や区長といった役職者の役割と認識されており、自主的な活動者は自身の活動の正当性への大きな不安を持っている。役職者や対象に対して活動する人数の少なさと支援内容の大きさに負担を抱えている。そして、活動者同士のネットワークもなく、異変に気が付いた時の対応方法も確立されていない。これら見守り支援とそのネットワーク化においては、設定した地区の地形や道路形状、居住形態によって差があることが確認された。そこで、地区の地形や道路形状、居住形態による類型化作業を行った。 全国的な課題に対応した福祉教育を実施することはできている。しかし、対象地域に特化した地域生活課題を題材にした福祉教育実施のための、個別課題の分析を行うことは単一法人では時間的、技術的に難しさがある。学校内での福祉教育だけでは、教育内容や取り上げる分野の差があり、子どもの成長に合わせた統一的な福祉教育を行うことに難しさがある。特定の福祉施設が対象地域内でも福祉教育の核となっている。このような課題と現状から、地域全体で福祉教育を推進する組織を必要としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していた研究計画に基づき、対象者にヒアリング調査を実施することができた。ヒアリングでは当初予定していた社会福祉法人の担当職員だけでなく、多くの一般職員に話を伺うことができた。福祉教育に関する聞き取り調査結果からは、地域の福祉教育の現状と支援体制に関する報告書を作成し、対象地域に対して情報提供することができた。また、研究結果に基づき近隣社会福祉協議会職員も対象とした地域特性に関する研究会、地域住民を対象とした見守り支援活動の報告会を実施することができた。そして、地域モデルの類型化作業を行い、支援モデルの構築も行うことができた。以上の理由から、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も当初研究計画に基づき、地域類型化作業の精査及び支援モデル構築の精査を行う予定である。地域類型化作業においては、類型化した対象地域への訪問活動を通して実際の支援について、追加のヒアリングを実施する予定である。ヒアリングにおいては、メゾレベル、マクロレベルの支援の内容が地域類型ごとにどのような特徴を持つのかを確認する予定である。これら研究結果に基づき、学会発表および、近隣社会福祉協議会職員を対象とした研究会や住民を対象とした報告会を実施予定である。
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