2016 Fiscal Year Research-status Report
障害乳幼児支援担当者の「専門性」向上に係る養成および研修に関する歴史的研究
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16K21275
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
田中 謙 山梨県立大学, 人間福祉学部, 講師 (50713533)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害のある乳幼児 / ことばの教室 / 幼児ことばの教室 / 言語障害特殊学級 / 言語障害教育教員養成課程 / 北海道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は戦後日本における障害乳幼児の支援を担う「ことばの教室」「幼児ことばの教室」の担当者養成、研修を担った「臨時言語障害児教育教員養成課程」および研究会の実態と社会的機能を明らかにし、展開要因における専門職養成、研修の意義を分析する作業を進めた。 その結果、全国的な動向として、言語障害特殊学級の設置が特に進められた都道府県として北海道、宮城県、東京都、千葉県、神奈川県、静岡県、大阪府が挙げられ、この7都道府県は一部を除き、言語障害教育教員養成課程、言語障害教育臨時教員養成課程、特殊教育特別専攻科言語障害教育専攻が設置された国立大学が位置する都道府県が多いことが明らかとなった。従って、教員養成が言語障害特殊学級設置の一つの原動力となった可能性が示された。 上記の都道府県以外にも、金沢大学教育学部言語障害教育教員養成課程は、一期生が富山県や山形県等から派遣されており、修了後他県で言語障害特殊学級の担当者となっていることが判明した。言語障害教育教員養成課程は設置都道府県以外の都道府県における言語障害特殊学級設置にも寄与している可能性が示された。 また本研究の主な分析対象である北海道に関しても、北海道教育大学言語障害教育臨時教員養成課程が道内での言語障害特殊学級の設置に寄与していることを事例を蓄積する形で検証を行った。その結果1970年代の言語障害特殊学級設置に関しては同課程の修了生が多く、設置に寄与している可能性が高いことが示された。一方で道内初期に開設された言語障害特殊学級担当者は東京等で研修を受けたものが多いことも判明し、今後東京における言語障害児教育担当者の養成課程の検証が必要なことも示された。 次年度は1.この初期の担当者の養成について検証を行うこと、2.全国的な動向との関係性を検証すること、3.研修の実態に関する調査を行うことの3点が研究課題となると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年次に関しては概ね研究実施計画に沿った研究活動を展開し、研究目的に沿った資料の収集・分析を行い、研究成果をあげることができた。 しかしながら、分析の過程で研究計画では十分な位置づけがなされていなかった全国的な動向との関連性の検証をデザインに組み込んだため、作業課題が増加し、研修体制の検討は十分に行えなかった。次年度は初年度の作業を継続するとともに、研修体制の検討を中心に文献収集と聞き取り調査等を実施する予定である。 以上研究成果および新たな研究課題への対応の必要性を考慮し、現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」と自己点検、評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの到達度」にも示したように、研究計画をより実証的に解明するために全国的な動向の検証に関する作業課題を追加した。この作業を継続する上で、今後愛媛大学や横浜国立大学、千葉大学等の「言語障害教育臨時教員養成課程」の検証作業も必要であると考えられ、引き続き作業を進める予定である。 また初年次に十分な検討がなされなかった研修体制について調査を進めるため、聞き取り調査の予定を立案した。2年次はこの計画に基づき、1960~1970年代の北海道における言語障害特殊学級担当者等の研修の実態について、文献収集と聞き取り調査を遂行する。
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Causes of Carryover |
2年次は研修の実態に係る調査研究を進めるため、研究にかかる経費の申請を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年次(平成29年度)に関しては、おおよそ北海道への訪問調査旅費(300,000円)、研究発表のための学会旅費等(300,000円)、分析のための人件費(200,000円)、文献等購入費(200,000円)、研究備品・消耗品購入費(100,000円)を予定している。
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Research Products
(2 results)