2017 Fiscal Year Research-status Report
障害乳幼児支援担当者の「専門性」向上に係る養成および研修に関する歴史的研究
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16K21275
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
田中 謙 山梨県立大学, 人間福祉学部, 准教授 (50713533)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 言語障害 / 教員養成 / ネットワーク組織 / 専門職の学習共同体 / 言語障害特殊学級 / 北海道 / 金沢大学教育学部 / 言語障害教育教員養成課程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年次(平成29年度)の研究計画では、「北海道言語障害研究会」「北海道言語障害児教育研究協議会」の実態について、構成メンバー、研究テーマおよび社会的機能の検討を行い、研修活動の展開過程を明らかにすることを目的とした。 まず「北海道言語障害児教育研究協議会」(道言協)の分析を行った結果、道言協は複数の「ことばの教室」設置校校長と担当者から構成されるネットワーク組織としての性質を有し、Hord & Sommers(2008)の唱える「専門職の学習共同体」(PLC、Professional Learning Community)としての特性を有する組織特性が志向されていたということができることを明らかにした。そこでは、言語障害児教育の理解が低い当時の教育環境下で、「言語障害関係者の知恵者」と評される「専門職」というべき担当者が道言協を組織化して集い、実践的研究や研究交流を通して学級(教室)経営上の課題等の解決に向け取り組んでいくため「学習」を行う「専門職の学習共同体」を構築していたのである。 つぎに、初年度の研究成果として教員養成が言語障害特殊学級設置の一つの原動力となった可能性が示されたため、金沢大学教育学部言語障害教育教員養成課程を事例に検証を行った。その結果、同課程は初年度だけでも金沢大学の所在する石川県のみならず、富山県、新潟県、山形県の言語障害特殊学級設置・拡充に専門職養成の点から寄与していることを指摘することが可能となった。 以上のような結果が明らかになったものの、「北海道言語障害研究会」の実態と金沢大学教育学部言語障害教育教員養成課程の上述以外の地域への関与は検討が十分できなかったため、次年度の研究課題とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年次に関しては、概ね研究実施計画及び初年次に明らかになった研究結果に基づく修正を踏まえて研究作業を進め、研究成果を上げることができた。 しかし上述の研究課題に関して、研究上必要な聞き取り調査を含む実地調査が平成30年度に延期された。また他地域への実地調査が十分行えなかった。そのため、研究の完遂が叶わなかった。 以上、研究成果および作業課題の継続を考慮し、現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」と自己点検、評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
3年次は「北海道言語障害研究会」の実態について、2年次の研究成果を基に、研究上必要な聞き取り調査を含む実地調査を実施する。 また他地域として金沢大学の初年度の課程修了生が派遣された茨城県についても教育委員会関連資料収集のため、実地調査を進めることとする。 その上で、最終年度として研究成果をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
聞き取り調査を含む実地調査が延期されたため、調査に係る旅費等で残額が生じた。また研究成果をまとめるための文献等購入に関しても残額が生じた。 3年次に関しては、おおよそ北海道への訪問調査旅費(200,000円)、研究発表のための学会旅費等(100,000円)、分析のための人件費(200,000円)、文献等購入費(100,000円)、研究備品・消耗品購入費(100,000円)として約700,000円を計上予定である。
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Research Products
(2 results)