2016 Fiscal Year Research-status Report
制度に着目した、東南アジアにおける都市交通整備の経済効果に関する研究
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16K21282
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
湯川 創太郎 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 特任講師 (30596945)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域交通政策 / 公共交通 / 国際交流 / 東南アジア / マレーシア / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究課題と課題毎に得られた成果の概要は下記の通りである。 (1)データ収集:インドネシア、ジャカルタに所在する運輸省図書館にて、地域公共交通政策に関係する文献や調査報告を入手し、整理を進めるとともに、ボゴール市を中心としたジャカルタ近郊、ジャワ島の主要地方都市のひとつであるジョグジャカルタ市・スラカルタ市の都市公共交通の現状(バス・ミニバスのルート、運行状況の確認)を行った。当初計画では、限られた統計情報を実測データの併用の必要性を予測していたが、近年では、地域によっては、地域レベルでの産業連関表や、個票データを元にした地方都市における交通調査などが行われている事がわかり、これらの活用も検討している。 (2)ヒアリング調査:マレーシアのクアラルンプール市役所を訪問し、2010年の陸上公共交通基本法制定後の地方自治体の役割・権限に関するヒアリング調査を行った。また、インドネシア、ジョグジャカルタ市の交通局を訪問し、同地における公共交通政策の基本施策と、近年のバスの運行改革についてのヒアリング調査を実施した。また、交通局と連携して研究を行っている現地研究者に、同地でのミニバス運行の現状、法令などの確認を行った。 (3)29年度以降の調査に備えての研究者との打ち合わせ:マレーシアのマレーシア国民大学の研究者とマレーシアの交通政策の動向や、近隣諸国との比較分析の方法について密に連絡を取るとともに、当初計画のとおり、インドネシア、ボゴールのボゴール農業大学の研究者、ジャンビ・バタンハリ大学(ジャンビ市)の研究者と打ち合わせを行った。また、交通政策や統計資料で顕著な特徴がみられるジョグジャカルタ市のガジャ・マダ大学の研究者とも新規に打ち合わせを行い、今後の協力を依頼した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って、今後の分析に必要なデータ・資料を入手し、2か所でヒアリング調査を行い、マレーシアの都市交通政策の詳細と、インドネシアの都市交通政策の概況について確認する事が出来た。また、今後の調査についての現地研究者との打ち合わせも実施することができた。他方、当初の予想とは異なり、インドネシア国内での地域交通政策に、同じような地理的特徴を持つジャワ島内でも差異がある事が判明し、また地方レベルでの国内での調査研究がある程度実施されているものの、その実施状況にも地域ごとに差異がある事が判明した。また、図書館の所蔵資料の制約などから、集まった資料がやや断片的であるという問題もある。これらは、今後の分析に必要な調査量や来年度の進捗に影響する点であるので今後注意していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
【進捗状況】で記したように、当初の予想とは異なり、インドネシアでは人口周密地で、同じような地理的特徴があるジャワ島内であっても地域交通政策に差異が存在すること、また、それに対する調査状況が異なる事が判明している。ジャワ島の地方都市であるジョグジャカルタ市では盛んに交通調査が行われていることから、その調査報告を元に、当初計画の他地域(ボゴール市・ジャンビ市)等の比較を実施することを検討している。 また、東南アジアの他国(ベトナム・タイ)との制度の比較分析も進めていく予定であるが、同様の問題(地域ごとの違い)が見出される可能性もあるので、先行研究等を参考に慎重に進めていきたい。
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Causes of Carryover |
調査に当たってのデータ購入を検討したが、インドネシアでの実地調査で文献資料を各種入手できた事、またその内容精査を先行して行う必要があることから、本年度の購入は見送っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要に応じてデータ購入を行うが、現地研究者に情報収集を依頼する事も検討しており、研究の進行状況により、情報収集の謝金に充当する事も併せて検討する。
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