2018 Fiscal Year Research-status Report
革新的高出力を可能にするコンバージョン反応によるアルミニウム二次電池の創製
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16K21288
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
知久 昌信 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20582399)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルミニウム二次電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
負極にアルミニウムを用いるアルミニウム二次電池を実現するために不可欠な、新規正極材料の開発をおこなっており、特にコンバージョン反応により動作する正極材料に注目している。これは三価のカチオンになるアルミニウムはインサーション型の正極材料と強く静電的に結合することが予想されるためである。これまでに申請者は銅のハロゲン化物がコンバージョン型の正極材料として利用可能であることを示したが、充放電に伴う放電容量の減少が激しいという問題点が存在した。特に銅の塩化物は初期放電容量が非常に大きい(400 mAh g-1)一方で、2サイクル目以降の放電容量は1/10以下になってしまうという問題点が存在した。 申請者は2018年度新たに酸化鉄を材料とすることで、銅のハロゲン化物とは異なるコンバージョン型の正極を作製可能であることを見出した。酸化鉄をアルミニウム二次電池用正極材料として充放電試験をおこなったところ、放電後の正極材料に金属の鉄が含まれることがわかった。これまでにアルミニウム二次電池用正極材料として報告されている遷移金属酸化物は酸化バナジウムなどの複数存在するが、遷移金属が0価まで還元される材料はなく、新たなコンバージョン型正極材料として期待できる。一方で放電容量は理論容量の1/10程度であった。これはコンバージョン反応に伴って生成する物質が反応の進行を妨げている、もしくは酸化鉄の電子伝導性が低いため利用率が低くなっているなどの原因が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに銅のハロゲン化物を用いることでコンバージョン型のアルミニウム二次電池用正極材料が実現可能であることを示した来た。銅のフッ化物と塩化物では充放電特性に大きな違いが見られたことから、それぞれの反応物の解析を行うことで反応メカニズムを解明し充放電特性の違いを説明することが可能になった。 以上に加えて2018年度には酸化鉄が新たにコンバージョン型の正極材料として利用可能であることが示された。一般的にアルミニウム二次電池用正極材料として遷移金属酸化物はインサーション型の反応を示すものが多いが、酸化鉄に限ってコンバージョン型の反応を示すことから、酸化鉄を材料として反応物の解析、反応メカニズムの解析を行うことであらたなアルミニウム二次電池用のコンバージョン型正極材料の提案が行えると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アルミニウム二次電池用正極材料として酸化鉄がコンバージョン反応を生じることが示されたことから、新たなコンバージョン型正極材料の探索を酸化鉄を中心に行う。酸化鉄正極は理論容量の1/10以下の放電容量しか示さなかった。これを解決するために活物質の微粒子化、高比表面積の導電助剤との複合化などを行い、活物質の利用率の向上を行う。また、放電後の酸化鉄正極に金属の鉄が含まれることは粉末X線回折より判明しているが、その他の生成物は不明であることから、X線光電子分光や透過型電子顕微鏡を用いて生成物の分析を行い、反応メカニズムの解析を行う。
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Causes of Carryover |
該当年度に購入し使用する予定であった消耗品の納入に日数がかかるため、年度をまたがない為に次年度に購入することにしたため。
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Research Products
(2 results)