2016 Fiscal Year Research-status Report
高知県に自生する未利用天然資源の機能性評価-抗アレルギー活性を指標として-
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16K21299
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
田中 守 高知県立大学, 健康栄養学部, 助教 (00612350)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗アレルギー作用 / 植物 / 食物アレルギーモデルマウス / RBL-2H3細胞 / Cirsium maritimum Makino / Citrus depressa |
Outline of Annual Research Achievements |
高知県は日本でも有数の植物の宝庫であるが,現在に至るまで,産業利用の面ではほとんどが未開拓である。本研究では,高知県に自生する産業利用の面でほとんど未開発な植物について,詳細な抗アレルギー評価を行い,アレルギー症状の緩和やアレルギー発症の予防のための新たな有効植物資源を見出すことを目的として実施した。県内に自生する約200種類の植物候補を,抗アレルギー作用を評価する上で広く用いられている、RBL-2H3細胞でβ-hexosaminidaseを脱顆粒の指標としたスクリーニング評価を行い,数種類の植物候補を見出した。中でも今年度は,Cirsium maritimum MakinoとCitrus depressaに焦点を当て,in vitro系では,各種濃度における脱顆粒放出活性及び細胞内Ca2+濃度を評価し,in vivo系では,Ⅰ型アレルギーモデル動物を用いた抗アレルギー作用の評価を行った。Cirsium maritimum MakinoとCitrus depressaをRBL-2H3細胞に作用させたところ,脱顆粒放出活性及び細胞内Ca2+濃度で濃度依存的に有意な脱顆粒抑制効果が認められた。Ⅰ型アレルギーモデル動物を用いた抗アレルギー作用の評価として,マウスを用いたpassive cutaneous anaphylaxis 反応(PCA反応)の評価を行ったところ,コントロール群と比較してCirsium maritimum Makino及びCitrus depressaの葉で有意にPCA反応の抑制が認められたことから,マウスにおいても抗アレルギー効果を示すことが確認された。さらに,Cirsium maritimum Makinoにおいては,抗アレルギー成分を同定するとともに,腸管及び血清中の抗原特異IgAを増加させることを明らかにした。現在は,抗アレルギー作用メカニズムの解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究実施計画として,約200種類の植物候補から抗アレルギー活性が期待される植物を選別するため、ラット好塩基球様細胞株RBL-2H3(RBL-2H3細胞)を用いてスクリーニング評価を行う。平成29年度は,平成28年度に得られた結果を基にして,有用植物の抗アレルギー成分の同定及びモデル動物を用いた有用植物の抗アレルギー作用の評価,有用植物の抗アレルギー作用メカニズムの解明を検討することであった。現在の達成度としては,平成28年度に計画していたスクリーニング評価を終え,2種類の植物について動物実験まで進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた結果を基に,抗アレルギー成分の同定及びモデル動物を用いた有用植物の抗アレルギー作用の評価,有用植物の抗アレルギー作用メカニズムの解明を行う。具体的に,Citrus depressaの抗アレルギー成分を同定する。Cirsium maritimum Makino及びCitrus depressaの抗アレルギー作用メカニズムの解明を行う。さらに,他の植物候補についても同様に抗アレルギー作用を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定通りに今年度必要な予算を使用したが、完全に使い切ることが出来ず1,762円が余ってしまった。無理に使い切る必要がないと考え、次年度に使う計画でいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度余った1,762円は次年度に使うことを計画している。
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