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2016 Fiscal Year Research-status Report

ヒツジ体内を介したヒトiPS細胞由来の機能的造血幹細胞の作製・増幅技術の開発

Research Project

Project/Area Number 16K21315
Research InstitutionJichi Medical University

Principal Investigator

阿部 朋行  自治医科大学, 医学部, 助教 (20610364)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords再生医学 / 幹細胞 / トランスレーショナルリサーチ / 移植・再生医療 / 応用動物
Outline of Annual Research Achievements

移植ドナーが不足している現在、造血幹細胞の大量生産は血液の再生医療・がん治療において極めて重要な課題である。近年、iPS細胞が新たな移植ソースとして期待されているが、造血幹細胞への分化誘導にはいまだに成功していない。一方、申請者は、妊娠早期(約60日齢、満期は147日齢)のヒツジ胎仔が免疫寛容を誘導することを利用し、造血発生の場である肝臓内でヒトiPS細胞由来の中胚葉細胞から造血幹細胞を作り出せることを見出した。しかしながら、ヒツジ体内におけるヒト造血幹細胞の作製効率は必ずしも高くないため、ヒツジ体外へ分離するのは容易でなく、正常で安全な造血機能を有するかは明らかではない。そこで本研究では、①ヒト由来細胞の刺激、②ヒツジ造血系の抑制により、ヒト造血幹細胞をヒツジ体内で増幅し、大量作製する技術を開発する。
平成28年度は、移植6日前に妊娠ヒツジ静脈内にブスルファンを投与する(上記②ヒツジ造血系の抑制に該当する方法)ことで、ヒトiPS細胞由来造血細胞をもつヒツジ複数頭を安定的に作出できた。次に、当該ヒツジに対して、ヒトリンパ球を投与することで、ヒト造血比率を向上できるか検証した。その結果、複数頭のヒツジにおいて、ヒト造血比率を数倍向上させることに成功した。さらに、ヒトリンパ球投与によってヒト造血比率が向上するメカニズムを解析した。
平成28年度の研究結果から、ヒツジ体内でヒトiPS細胞由来造血幹細胞を量的に向上させる技術ができた。当該技術は、ヒツジ体内からヒトiPS細胞由来造血幹細胞の取り出しを効率化させる技術として、極めて有用である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度は、ヒツジ体内のヒトiPS細胞由来造血幹細胞を増幅できるか検証した。移植6日前に妊娠ヒツジ静脈内にブスルファンを投与することで、ヒトiPS細胞由来造血細胞をもつヒツジ複数頭を安定的に作出することができた。
次に、当該ヒツジに対してヒトリンパ球を投与することで、ヒト造血比率を向上できるかを検証した。その結果、複数頭のヒツジでヒト造血比率を数倍向上させることに成功している。さらに、ヒトリンパ球投与によってヒト造血比率が向上するメカニズムについて、解析を行っている。ヒトリンパ球輸注後のヒツジの皮下に、水疱が形成された。これをバイオプシーし、組織片を免疫染色したところ、IFN-γを発現するNK細胞やγδT細胞などのMHC非拘束性のリンパ球が集積していることがわかった。また、ヒト造血比率が向上するタイミングと同時期に、ヒツジ末梢血中にヒトIFN-γが検出されること、ヒツジ骨髄における造血コロニー数が有意に減少すること、を明らかにした。以上の結果、本研究から、ヒトリンパ球投与によるヒト造血比率向上のメカニズムとして、MHC非拘束性ヒトリンパ球によるヒツジ細胞への障害作用により、ヒツジ造血が抑制された結果、ヒト造血比率が向上する、ということが示された。

Strategy for Future Research Activity

ヒツジ体内におけるヒトiPS細胞由来造血幹細胞は、PCRによる遺伝子増幅法では検出できるが、フローサイトメトリーでは検出・計数できていない。この原因として、ヒト造血幹細胞の数が極めて少ないといった量的な側面、あるいは造血細胞の表面抗原として既知であるマーカーの発現強度が低いといった質的な側面を考えている。
これらの課題に対し、平成28年度の研究結果から、ヒツジ体内でヒトiPS細胞由来造血幹細胞を量的に向上させる技術を開発できたと考えている。当該技術は、ヒツジ体内からヒトiPS細胞由来造血幹細胞の取り出しを効率化できる技術として有用である。
平成29年度は、当該技術を活用し、ヒツジ体内からのヒト細胞の取り出し技術の開発を進める。具体的には、免疫染色やフローサイトメトリーを用いて、候補となる細胞表面抗原およびこれに対する抗体の検索を行うことで、質的課題の解決策を導き出す。ヒト細胞の取り出しに成功したら、分離細胞の体外培養試験、免疫不全マウスへの移植試験および遺伝子発現解析による造血幹細胞としての機能評価を行う。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Presentation (1 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results) (of which Overseas: 1 results)

  • [Presentation] ヒトiPS細胞由来造血細胞のヒツジ体内での長期生着2017

    • Author(s)
      阿部朋行、柴田宏昭、魚崎英毅、原弘真、大貫貴広、ボラジギン・サラントラガ、福森理加、長尾慶和、花園豊
    • Organizer
      第19回日本異種移植研究会
    • Place of Presentation
      メルパルク京都4階(京都府京都市)
    • Year and Date
      2017-02-25 – 2017-02-25
  • [Patent(Industrial Property Rights)] 造血系細胞の作製方法2016

    • Inventor(s)
      花園豊、阿部朋行、長尾慶和
    • Industrial Property Rights Holder
      自治医科大学、宇都宮大学
    • Industrial Property Rights Type
      特許
    • Industrial Property Number
      PCT/JP2016/075743
    • Filing Date
      2016-08-26
    • Overseas

URL: 

Published: 2018-01-16  

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